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CRYSTAL LAKE

December 14,2017

10月21日、バンド結成15周年を記念して、TRUE NORTH festivalを開催

From FLJ ISSUE 57(11.30.2017)

PHOTO: John Gyllhamn

バンド結成15周年を記念して、10月21日にSTUDIO COASTにてTRUE NORTH festivalを開催したCrystal Lake。この日は3つのステージを舞台に、国内だけではなく、アメリカ、タイ、台湾のバンドも出演して、総勢16組が熱いライヴを繰り広げた。また、THE ROAD TO TRUE NORTHから勝ち上がった3バンドも出演。さらには、Crystal Lakeの2nd アルバム『INTO THE GREAT BEYOND』リリース時のメンバーでのリユニオンも実現。バンドの歴史と今のつながりを集約した熱い一日となった。Ryo (Vo)、Yudai (G)、Shinya (G) に話を聞いた。

FLJ バンド結成15周年ということもあって、TRUE NORTH FESTIVALのアイデアはどういう風に考えていったの?
Yudai せっかく15周年なんだから、お祭りをやろうってことになって。Crystal Lakeなら何ができるんだ?っていう話から、ツアーはさんざんしてたので、そこで自分たちが出会って実際に触れ合った人たち、関わりのある人たちを集めて、なおかつ、自分たちのサウンドに合う一番ヘヴィなお祭りって何だろう?って考えた時に、「TRUE NORTH」っていう言葉を使って、Crystal Lakeが打ち出す一日を作ったっていうのが経緯ですね。しかも「TRUE NORTH」っていう言葉は、今までバンド・メンバーが変わったりいろいろあって、それを経て今があって、ここからどう進んでいこうか?ってなった時に、自分たちはやっぱり間違ってなかったよな、これがやりたかったことなんだよ、っていうのを言葉にしたものなんです。この言葉をアルバムにして、今度はイベントというお祭りの日に使うことができて、そこでヘヴィってこれだよなっていうのをTRUE NORTH FESTIVALをやれたのが良かったです。
Ryo 15周年っていうアニバーサリーだったんで、俺はまずCrystal Lakeのリユニオンを絶対にお願いしたいと思って。自分の好きなHaste the Dayっていうバンドが、けっこうラインナップが変わってるバンドで、何かの周年イベントの時に、各アルバムの時期のラインナップで、一つのライヴで3つぐらいラインナップを変えてやってて。それ面白いなと思って提案したら、やってくれたんですよ。

FLJ リユニオンはRyoの提案だったんだね。
Yudai 自分たちってこれからと今を大切にしてるバンドで。過去は大切な財産だから、捨てたわけじゃないんですけど、まさかヴォーカルからその言葉が出てくるとは思わなかったし、面白いなと思って。Further Seems Foreverも昔のヴォーカルでリユニオンをやってて、自分もアメリカに観に行きたいなという気持ちになったぐらいで。やっぱ好きなバンドって、昔のヴォーカルでも今のヴォーカルでもファンにとっては貴重なものだから。しかも、別にメンバーとケンカしたわけでもなく、いろんな事情があって、やりたくてもできなくて去っていった人たちもいたので。それで、面白いじゃん、やっちゃおうってなったんです。
Ryo 結果的に伝説のライヴになりましたね。

FLJ リユニオンで昔の曲をやってみて、新たに気づいたことはある?
Yudai メロディとかのキメのポイント、ハードコア特有のシンガロング・ポイントとか。それは入れたいっていう気持ちは今も変わってなくて。やっぱり今とリンクするんだなと思いましたね。
Shinya Yudaiが昔から全部曲を作ってますけど、実際に昔の曲をあのステージでやった時に、ライヴで映える曲なんだっていうのは改めて思いましたね。シンガロングとかが少ないバンドもそれはそれでいいなとは思うんですけど、自分がアガるのはシンガロングがめちゃめちゃあるバンドだし、来てる人たちとみんなで一緒に作る空間っていうのが、こういう音楽のいいところなのかなって思いますね。リユニオンのライヴでは、いろんな人がいろいろ映像を撮ってくれてたりしましたけど、僕らのマイクなくなってましたもんね(笑)。もうみんなに取られちゃってて。
Yudai サウンドはメタルとかメタルコアとかいう言われ方してますけど、自分たちのバックボーンとしては、昔の新宿Loftから始まって、ライヴハウスでハードコア・パンクを見てきて、ONE FOR ALLのユニティ文化のようなハードコア特有の文化があって、お客さんもバンドもみんな一緒になって作る、そういうところの骨がやっぱりあるのかなって、今の話を聞いても改めて思い出すし、痛感しますね。ハードコア、パンク、ヘヴィ・ミュージックの良さって、バンド同士がリスペクトして、お客さん同士もリスペクトして、一つのシーンを作って、音楽を通じてまとまるところなんだなって、この年になって感じだしたんですね。よく菅原さんとかセンタさんが、「ハードコアってエリートと最下層のゲットーがくっつく唯一の音楽だ」って言うんですけど、確かになあって。

FLJ 今はラウド・ロックというくくりでいろんなフェスがあるんだけど、そういうのとはひと味どころか何味も違ってて、全バンド気合いが入ってたし、そこがやっぱりCrystal Lakeの底力だと思ったな。Crystal Lakeはそれこそラウド・ロックのシーンでガンガンやってるバンドなんだけど、今話したハードコアのルーツの部分もちゃんとあのフェスではつなげて見せてたなと思って。
Yudai 今って売れてるバンドを集めたフェスって多いじゃないですか。方や、OLYMPIKとかBLOODAXE FESTIVAL、Asakusa Deathfestとかいろいろある。みんながそれぞれ思いを持ってやってるのには、少なからず影響を受けていて。最初はけっこう悩んだんですよ。どうしたら違いを出せるのか。どうしたら面白いことをできるのか。そうしたらけっこうゴチャゴチャになってしまって。もう開き直って、最初に言った、自分たちが今感じてカッコいいなと思ったり、つながってる人たちを呼んで、自分たちのお客さんにそういう世界を知らせたいなという思いがけっこう強くなって。それでバンドを選んだ感じではあったんですけど。また次もやりたいなと思いましたね。
Ryo 本当に好きなヤツしか来てなかったのがいいですね。それに今回、オーディションをやって若い子たちに機会を与えるっていうこともやったんですけど、「また出たいです」とか「こういうフェスを自分がやりたいです」っていうのをスゴい言われて。最初は特に意識してなかったんですけど、若い子たちの目標に思ってもらえるようなイベントに結果的になったんじゃないかな。


Free Will StageでTRUE NORTH festivalのトップバッターを務めたCrystal Lake Reunion。現メンバーのYudai (G)、Shinya (G)に加えて、2010年に発売された2nd アルバム『INTO THE GREAT BEYOND』リリース時のKentaro (Vo)、Yasuyuki (B)、Yusuke (Dr) というメンバーで、1日限りの復活を果たした。

FLJ RyoはMCでも「俺たちの理想のヘヴィ・ミュージックのフェスティバルがここに誕生しました」「こういう音楽が日本の文化になるんじゃねえかって本当に思いました」って言ってたよね? 改めてその思いを聞きたいんだけど。
Ryo ラウド・ロックというくくりが一般化しつつあるとは言え、スゴく名前だけのものだし、何かちげえんだよなとは感じてて。デカいフェスはあれはあれでありなんですけど、本当に好きだからやるフェスを見せたい、好きだからこそいろんな人に知ってもらいたい、リアルでTRUEなものを感じてもらいたいって、ずっと思ってたんです。「カルチャーにしたい」っていう思いは、ずっと言い続けてますけど、カルチャーが何なのか?っていうのはまだ自分もよくわかってないんです。ただ、みんなが好きなものを突き詰められる環境をもっと俺らが作れたらなとは思ってて。尖りきった人たちが作るものは本当に美しいものだから。

FLJ 会場のStudio Coastは、10年前にTaste Of Chaosのオーディションに応募して出たという会場でもあるんだよね?
Yudai Studio Coastっていう意味合いよりは、オーディションの意味合いですね。Taste Of Chaosに自分たちが応募して、支援してもらって、大きな会場に出演できた。あれがあったからいろんな人に伝わったし、今もライヴをやってると、当時のTaste Of ChaosやIndependence-Dで観てバンドを始めたんだっていうヤツもいて、何て熱いことなんだろうと思ったんですよ。そういう機会って実はスゴく大事で。今の自分たちもそういうことをやれば、若い子たちに機会を作ってあげることができる。そこがオーディションの狙いだったんですよ。そもそも、TRUE NORTH FESTIVALをやる前に、TRUE NORTH Projectっていうのをずっとやってて。普段ライヴハウスでやっててカッコいいのに、自分たちのお客さんが知らないような若手のバンドを呼んで、イベントをやってたんですよ。その規模がデカくなったのがTRUE NORTH FESTIVALですね。

FLJ TRUE NORTH FESTIVALの後、ヨーロッパ・ツアーに行くわけなんだけど、かなり盛り上がったらしいね。
Yudai 良かったですね。CDをUK盤で出してたんですけど、実際に自分たちの曲を知ってる人たちってどれだけいるんだろう?っていう未知の世界だったんです。それでいざやってみた時に、まず一番最初にビックリしたのが、お客さんが全曲合唱して歌ってるじゃん!ってことでしたね。いい意味でショックを受けたし、これが本当にリアルな反応なのかなと思って。なおかつ、何年も前から自分たちのフェイスブックやメールに「おまえらいつになったらイギリスに来てくれるんだ?」って感じで、世界中からメッセージが来てるんですよ。今回、向こうは向こうで「やっと来てくれたの?!」って感じだし、俺たちは「やっと行けたよ!」って感じで、その思いが合致したライヴができたので、もうどこも熱かったですね。

FLJ 特にヤバかったところは?
Ryo 最終日のフランスですね。自分たちが想像しないぐらいたくさんのお客さんがいることにまずビックリしたし、しかもそこにいるほぼ全員が一緒に歌ってくれてるわけで、感極まるものがありましたね。
Yudai 泣きそうになりましたね。ライヴハウスのキャパも、400ぐらい入る広いところで。フランスのChunk! No, Captain Chunk!のメンバーも来てくれてたし、Japan Expoの人も謎に来てたし、いろいろな人が注目してくれて。裏でUSのバンド、Stray From The Pathのライヴが重なってるのにも関わらず、想像を超えたお客さんの入りとレスポンスで。ツアーの最後を締めくくるような日になりましたね。でも正直、全箇所良かったんですよ。自分たちも本当に気合い入れてブチかましたんで。あと、大きかったことがあって。ハードコア・ミュージック、ヘヴィ・ミュージックってワールドワイドな音楽だとは思うんですけど、でもどこかで英語圏じゃない人間、アジアの人間がどう見られるのか?っていうコンプレックスは奥底にあったと思うんです。それが、海外のバンドのおっかけじゃなく、自分たちが基準になって、ベースラインを作りたいっていう感覚に変わってきましたね。自信を持っていいんだっていうのが今の気持ちですね。日本にいるバンドの仲間も海外を回ってるじゃないですか。彼らが「Crystal Lake、行ってこいよ。おまえら間違いないぜ」っていう言葉を今までくれてて、半信半疑だったものが、実際に行って反響を感じることで、「ああ、彼らが言ってきたことって本当だったんだ」っていうのをリアルに感じられたのがデカかったですね。で、さらに、次があるなっていうのを、音楽的にも、自分が生きてきた道としても、ビジネスとしてもあるんだなっていうのを感じてますね。

FLJ 10月11日にリリースした『Apollo』はどういう位置づけの作品なの?
Ryo 今年何かしらリリースをしようっていうのがあって、たまたまそれがシングルだったんです。せっかく15周年の年に出すのなら、自分たちの今までの歴史を踏まえた上で、今のCrystal Lakeを表現したいと思ったんです。歌詞の内容も、過去と現在、未来のすべてがリンクして、今があるんだよっていう内容。それが上手くTRUE NORTH FESTIVALとつながって、一つひとつのことが、点が線になって、一つの場所に集約できて、スゴくいい形になったと思いますね。

FLJ 3曲だけど、集大成的かつ進化する音になってて、きれいな音からエクストリームなものまで、歌い方もメロディからガテラルまでいろいろ入ってて、ここまでやるバンドっていないなと思って。
Ryo ヘヴィな曲「Machina」は、エクストリームをCrystal Lake流に表現したらどうなるんだろう?っていう、半分本気、半分遊びみたいなところで、やれることをとにかく注ぎ込んだ感じですね。
Yudai みんな「シングルだったら歌ってくるんだろ?」って思うだろうから、「ふざけんなよ」って(笑)。ブルータル・トゥルースみたく「速けりゃいいんだよ、クソッタレ」じゃないですけど、開き直って、シングルなのに無茶して遊んじゃう、っていうのを2曲目に入れましたね。ギャグとヘヴィで、歌詞の中にRyoの好きなSFのテイストも入れて。自分たちが聴いててたぎるような音楽の根本のバイオレンスのテイストをぶつけてます。1曲目はただもう自然に、今やったらどういう曲ができるのかな?って、全然何も考えず曲を作って、結果長くなりすぎちゃったっていう(笑)。最近、Crystal Lakeってメロウで聴きやすいっていう印象を聞くので。そこで『Apollo』の1曲目、2曲目を聴いた時に「何じゃこりゃ?!」ってなって、新しい音楽につながるヤツもいるのかもしれない。それをけっこう期待してるんですけど。

FLJ 3曲目のDreamescape(Omega PhaseOne Remix)もベース・ミュージックのミックスになってて面白かった。
Ryo オーストラリアのPhaseOneっていうDJ、トラックメーカーのリミックスなんです。2年前にIn Hearts Wakeっていうバンドを呼んだんですけど、そのバンドのリミックスをPhaseOneが発表した時に、「ヤバいじゃん!」って俺らの中で話題になって。ちょうどその後、彼がDJで来日した時に遊びに行って、ちょっと話しただけですぐに仲良くなって。彼も元々バンドをやってて、メタル、ハードコアがスゴく好きなヤツだったんで、根底は一緒だなって感じて。「リミックスをしてほしいんだけど」って話したら、スムーズに話が進んだんです。

FLJ 最後に、15年前の自分に向かって今の自分が何か言うとしたら、何だろうね?
Yudai 「もう何も考えずに突き進みなさい」。当時は自分がやってるものが一番で、知らないヤツは全員嫌い、みたいな感じでしたね。でもそれがいろんな人と出会って、感じるものがあったから今があるなと思ったので。
Shinya 15年前に始めた時は、まさかここまでCrystal Lakeをやってるなんて思わなかったですね。
Yudai 俺も。28歳になったらA.P.C.を着て、車を持って、家を持つと思ってた(笑)。それがいまだにFUCKのTシャツを着てるという(笑)。「続けてたらきっとスゴいことが待ってるから続けた方がいいよ」って言うかもしれないですね。

FLJ Ryoは5年前にCrystal Lakeに加入したわけだけど、この5年はスゴい激動の5年だったでしょう?
Ryo 全く変わりましたね。短いようでスゴく長く感じたし、長いようで短くもあって、変な感じですけど。スゴくいろんなことが凝縮されてたし、人生の転機になりましたね。

Hyperspace Tour
2018年2月21日(水)東京 渋谷CLUB QUATTRO
2018年2月22日(木)名古屋CLUB QUATTRO
2018年2月23日(金)大阪 梅田CLUB QUATTRO
INFO: H.I.P.
TEL: 03-3475-9999
www.hipjpn.co.jp

『Apollo』
(CUBE RECORDS)
10月11日リリースの1st Single + LIVE DVD

http://crystallake.jp

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