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平原颯馬

June 07,2017

若干15歳、茅ヶ崎が生んだ次世代のプロ・サーファー

PHOTO: Jesse Kojima, junichiro harada (Riding)

From ISSUE 54 (05.31.2017)

ここ数年、サーフィンのシーンでの日本人の活躍が本当にスゴい。2015年にVans US Open of Surfingで日本人史上初の優勝を果たした大原洋人を筆頭に、世界の第一線で活躍するプロ・サーファーがたくさんいるのだ。そして、2020年の東京オリンピックの正式種目として採用され、今後はさらなる盛り上がりを見せるであろうサーフ・シーンに、今年の春、新たなプロ・サーファーが湘南・茅ヶ崎から誕生した。小学校1年生でサーフィンを始めた平原颯馬は、スケートボードもめちゃくちゃ上手い、まさにニュー・スクールのプロ・サーファーだ。東京オリンピックの強化指定選手にも選ばれ、今後間違いなく次世代のシーンを担う一人になるであろう平原颯馬。そんな彼を、練習のために滞在していた千葉でキャッチした。

FLJ サーフィンは何きっかけで始めたの?
平原颯馬 単純なんですけど、お父さんがサーフィンをやってたのがきっかけです。最初はスケートボードをやってたんですけど、友達がサーフィンをやり始めて、僕も始めたって感じですね。

FLJ 入りはスケートボードだったんだね。それは何歳くらいの時?
平原颯馬 小学校1年生です。

FLJ その当時から、同年代でサーフィンとかスケートボードをやってる子は周りで多かった?
平原颯馬 多かったですね。特に、僕の一個上の人たちが多かったですね。

FLJ 茅ヶ崎っていう環境が大きいのかな。
平原颯馬 そうですね。スケートボードもサーフィンも自然に始めてましたね。

FLJ サーフィンを始めてすぐにハマっていったの?
平原颯馬 いや~、最初の頃はお父さんがけっこうスパルタで、怖かったんです(笑)。でも、友達と一緒にサーフィンするのが楽しくて、そこから自分のスキルも上がって試合で勝ったりしてどんどん楽しくなっていった感じですね。

FLJ お父さんはスパルタだったってことは、最初から颯馬君にプロ・サーファーになってほしいっていう気持ちだったのかな?
平原颯馬 たぶんそうだと思います。

FLJ 兄弟はいる?
平原颯馬 一人っ子です。

FLJ それじゃあ、なおさらお父さんの想いを背負ってるんだね(笑)。最初に出た大会は覚えてる?
平原颯馬 サーフィンを始めて1年くらいの時ですね。茅ヶ崎でやった大会で、僕が出たのはお父さんが後ろから押してくれるクラスだったんですけど、その大会で3位になりました。

FLJ 最初の大会で3位はスゴいね。
平原颯馬 良いスタートって感じでしたね(笑)。

FLJ それからはコンスタントに大会にはで続けてたの?
平原颯馬 そうですね。最初は成績もけっこう良かったんですけど、途中でなかなか勝てない時期もあったりして。今もそうなんですけど。やっぱり周りの人たちのスキルも上がって上手くなってきてるので。

FLJ でも、周りに上手い人がたくさんいる環境っていうのはある意味恵まれているよね。
平原颯馬 今日も海に行ったら上手い人たちがいっぱいいたし、そうやって周りから刺激をもらって切磋琢磨できる、スゴく良い環境ですね。

FLJ 最初は遊びでやってたサーフィンだけど、プロになろうって思ったきっかけは何だったの?
平原颯馬 同い年で仲の良いヤツが去年プロになって、それで自分の中でちょっと焦りが出てきたんです。それで、去年プロ・トライアルを3回受けたんですけど、プロにはなれなくて。で、今回4月のバリの大会でやっとプロになれたので、良かったなって感じです。それまでは、プロになるっていうのは漠然とは思ってて、もう少し後でもいいかなって思ってたんですけど、その友達がプロになったことでスイッチが入りましたね。サーファーとして食べて行くってなると、フリー・サーファーかコンペティターになると思うんですけど、今はとにかく試合に勝ちたい。なので、今はコンペティター一途って感じです。将来的には、フリー・サファーになってサーフ・トリップで世界のいろんなところに行って、写真を残したりしたいなとは思ってます。

FLJ 今も海外にはよく行ってる?
平原颯馬 オフ・シーズンは行きますね。

FLJ どこか好きな場所はある?
平原颯馬 土地的に好きなのはオーストラリアですね。カリフォルニアも好きですけど。練習ってことを考えると、やっぱりハワイですね。

FLJ 今まで一番影響を受けたサーファーは?
平原颯馬 サーフィン始めた時は、ビデオとか見ると茅ヶ崎のサーファーがいっぱい出てて、僕もこうなりたいなって思っていたので、それが大きかったですね。今もそうなんですけど。なので、サーフィンのスタイルとかに関しても、特定のこの人に影響を受けたっていうよりも、茅ヶ崎の先輩たちに影響を受けてるっていうのが一番大きいですね。

FLJ 颯馬君はスケートボードもかなり上手いよね。
平原颯馬 それがサーフィンに活かされてるかどうかはわからないですけど、それが自分の一つの武器かなとは思ってます。

FLJ サーフィンの一番の魅力ってどんなところ?
平原颯馬 サーフィンを通して友達が増えていったり、人との繋がりが大きくなっていくことですね。サーフィンをしていなかったら出会えなかった人とか行けなかった場所とかもたくさんあって。でも、もっと多くの人と出会うには試合で勝たないといけないので。

FLJ デカい波に乗った時の快感とかもスゴいでしょ?
平原颯馬 超ヤバいです!! めちゃくちゃ気持ち良いです! ハワイとかだと下がリーフだから恐怖心もありますけど、チューブの中にいる時の気持ち良さはハンパないし、キレイに抜けた時はスゴいうれしくて。で、海から上がってからSNSをチェックして自分の写真がアップされてたりしたらもっとアガるし(笑)。

FLJ 今はどんなスポンサーが付いてるの?
平原颯馬 QuiksilverとHaydenshapes Surfboards、あとDC SHOESです。

FLJ サーフボードを選ぶ時に重視してる部分は?
平原颯馬 自分に本当にフィットする板っていうのが一番重要なので、自分のことをわかってくれるっていうか、感覚的に合うシェイパーと出会えるかっていうのが大切ですね。自分の身長とか体重とかクセ、自分の好きなアウトラインとかを伝えて、そこからオリジナルでシェイプしてくれるので。同じリクエストをしてもフィットする板とそうじゃない板が出来上がったりするんです。今回、プロになれたバリの大会で使ってた板は、手に持った瞬間に「これヤバい! 調子いい!」って。2本もらったんですけど、2本とも持った瞬間にヤバかったので、「今回当たりかも!」みたいな(笑)。

FLJ 乗る前にわかっちゃうんだね。
平原颯馬 そうなんです。だから、こういう板に出会えるとブチアガります(笑)。1センチの違いが、本当に大きな違いになったりするので。前に、調子良かった板が試合の直前に折れちゃったことがあって。「ヤバい!!」みたいな(笑)。超焦りました…。新しい板を持ってきてもらえて試合には出れたんですけど。

FLJ やっぱり板が変わるとサーフィンの調子も変わっちゃった?
平原颯馬 それが、その板もスゴい良かったんです(笑)。

FLJ 本当に出会いだね(笑)。普段はどういうサーフィンを心がけてる?
平原颯馬 あんまりガチャガチャしすぎないで、レール・ワークでいくっていうのは意識してますね。

FLJ さっき、最近は試合であんまり勝てない時期だって言ってたけど、試合で重要になってくるポイントはどういうところなの?
平原颯馬 勝てない理由としては、緊張もあったりすると思うけど、僕の場合は良い波に乗れないっていうのが大きいですね。

FLJ 試合になると、単純に技術っていうだけじゃなくて、時間内で良い波を取るための駆け引きもあるもんね。
平原颯馬 かなり考えながら試合をやっていくんで、頭を使うっていう部分も大きいですね。上手く自分のペースで試合を運べると勝てるんですけど、相手のペースにでやられちゃうと全然できなくなっちゃうので。

FLJ 試合の前って、みんな音楽を聴いてるイメージがあるんだけど、颯馬君は試合前どんな音楽を聴くの?
平原颯馬 その時にハマってる音楽を聴きますね。今はヒップホップにハマってるんで、日本語ラップとかが多いんですけど、基本的に自分がアガる曲が多いです。

FLJ サーフィン以外のトレーニングもしてる?
平原颯馬 茅ヶ崎にハヤシスポーツクラブっていうところがあるんですけど、そこにトレーナーの人がいて、その人にいろいろ教えてもらいながらトレーニングをしてます。体幹が弱いとコケちゃったりするし、サーフィンにパワーがなかったりするんで、そういうトレーニングもちゃんとやらないと試合では勝てないんです。

FLJ 2020年の東京オリンピックの強化指定選手にも選ばれたよね。
平原颯馬 そこはめちゃくちゃ意識してますね。やっぱりオリンピックに出れたらかなり変わってくると思うので。とりあえずオリンピック選手として選ばれたいです!

FLJ 今後、サーフィンに対しての世間の注目度も上がっていくだろうからね。
平原颯馬 やっぱり、世間の人が持ってるサーフィンのイメージと、実際にサーフィンで上を目指してる人たちの意識にギャップがあると思うんですよ。なので、オリンピックをきっかけに、そういうのもわかってもらえたらうれしいですね。

FLJ 普段は一日どれくらいサーフィンしてるの?
平原颯馬 波が良い日は、2時間くらいを3ラウンドやります。何がない時はトレーニングとスケートボードって感じです。

FLJ サーフィンとスケートボード以外に好きなことはある?
平原颯馬 映画が好きで、よく友達と観に行きます。YouTubeとかで面白いの見つけたらずっと観てますね(笑)。

FLJ 好きな映画は?
平原颯馬 最近観て面白かったのは『あしたのジョー』の実写版です(笑)。

FLJ 好きなサーファーは?
平原颯馬 スゲーなって思うのは、洋人君(大原洋人)ですね。最近は海で毎日のように会ってるんですけど、スピードとかも全然違うし本当にスゴいです。

FLJ 横ノリ以外のスポーツとかアスリートとの繋がりとかもあったりするの?
平原颯馬 今年から高校生になったんですけど、通信制の学校に行ってるんで、いろんな人がいるんですと。湘南ベルマーレに入ってるサッカー選手とか、ファッション系のデザインを頑張ってる子とか、ダンスをやってる子とか。今まであんまり知り合えなかった人たちなので、そこからも良い刺激をもらえてますね。

FLJ 今興味あることは?
平原颯馬 やってみたいなって思ってるのはバンドです。海外のサーファーでバンドやってる人がけっこういて、そういうの見ててカッコいいなって。

FLJ 楽器は何かできるの?
平原颯馬 何もできないです(笑)。太鼓は好きなんですけど。

FLJ じゃあドラムかな?(笑)「NINJA HEADS」って映像を見たんだけど、あれはチームなの?
平原颯馬 同じ2002年生まれで仲が良い村田嵐っていうプロ・サーファーと最近一緒に作ったチームなんです。映像も嵐が作ってくれてて。もっといろんな動画を作っていきたいし、NINJA HEADSでトリップに行ったりもしたいなって思ってます。

FLJ 2002年生まれだから、「#2002crew」っていうハッシュタグが付けられてたんだね。村田嵐君もスケートボードかなり上手いよね?
平原颯馬 そうなんですよ。昔はTHE SURFSKATERSにも出てたりしたので。

FLJ 次の映像が楽しみだね! 今年はどういう活動をしていくの?
平原颯馬 この前プロの資格は取ったんですけど、まだプロ登録はしていないので、NSA(日本サーフィン連盟)っていうアマチュアの大会に出て、しっかりと勝って「アマチュアの一番」ていう結果を取りたいなと思ってます。プロになってからは、WQS(World Qualifying Series)という世界の大会に出て、それに勝つとWCT(World Championship Tour)サーファーになれるので、そこを目指して頑張っていきたいと思います。あと東京オリンピックですね。

FLJ オリンピックの枠もかなり狭いもんね。
平原颯馬 たぶん2人くらいだと思います。スゴい倍率ですね(笑)。その中には洋人君とかもいるので。あと3年間しっかりと練習をしていきたいと思ってます。

FLJ 今はもうお父さんはスパルタじゃないの(笑)?
平原颯馬 今はそんなではないです(笑)。試合でスゴい負け方した時とかは言われますけど。でも、そのスパルタがなかったらプロにはなれてないと思いますね。

FLJ 普段の練習ではどんなところをポイントにして練習してる?
平原颯馬 まず、人が多い中で、必ず一本は良い波に乗るってことは心掛けてます。サーフィンはスケートボードとかと違って同じ波で何回も練習することができないので、そこは難しいところですね。常に違う波が来るので、そういうのを見極める力も大切だし、下がリーフなのかビーチブレイク(砂)なのかによっても波は全然違ってくるんですよ。リーフだと比較的同じような形の波ができやすいんですけど、ビーチブレイクだと下の砂が常に動いてるから波がどこで割れるかわからないんです。なので、その中で本当に良い波を選んでそこで技をやるんで難しいですね。

FLJ 日本でお気に入りの海は?
平原颯馬 やっぱり茅ヶ崎が一番ですね。それ以外だと、千葉の一宮はけっこう好きです。あとは浜松。浜松は波が良いのに人が全然いないんですよ。乗りたい放題で最高です(笑)。

FLJ 将来の夢は?
平原颯馬 大会で勝つことで、少しでも多くの人にサーフィンという楽しいスポーツを知ってもらうことです。それが一番の目標です。そのためにもオリンピックには何としても出たいです。



Twitter: @SomaHirahara
Instagram: @soma_hirahara

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