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Brian Delatorre × Dolan Stearns × Issei Kumatani

February 06,2019

ブライアン・デラトーレ × ドーラン・スターンス × 熊谷一聖
BRIXTONの日米スケート・チームライダー3人によるアートショー

From FLJ ISSUE 64(1.30.2019)

BRIXTONのアンバサダーが世界を回り、そこに各都市のローカル・アーティストが参加するというグループ・アートショー「VISUAL RELAY (Public Service Announcement)」。2016年のシカゴより始まったこのショーは、メルボルン、ロンドン、パリ、ベルリンと回って、東京では1月15日にTHE CORNERで開催された。この東京展では、BRIXTONのスケート・チームライダー、ブライアン・デラトーレ、ドーラン・スターンスに加えて、BRIXTON JAPANのスケート・チームライダー、熊谷一聖が参加。スケーターによるもう一つの自己表現であるアートを三人三様で見せてくれたショーとなった。

左から、ブライアン・デラトーレ、ドーラン・スターンス、熊谷一聖

FLJ スケートボードとアート、どちらに先にハマりましたか?
ドーラン アートが先だったね。小学校の時からいつも絵を描いてたし、グラフィティにハマったこともある。スケートボードを始めたのは6歳の時だね。アートの方が先だったけど、そのうちアートとスケートボードは融合していったよ。
ブライアン スケートボードが先だね。若いうちからツアーや撮影であちこち旅に行く機会があったから、旅先で写真を撮らない手はないなと思ったんだ。文化も違うし景色も違う世界の知らない場所に行けるわけだから。

FLJ 自分の経験を写真に収めたかったんですね。
ブライアン まさにそうだよ。経験だけでなく、フィーリングやヴァイブスも収めたかった。今ではカメラなしではどこにも行けないね。写真を始めたのは19~20歳の時だけど、撮影することにハマって、NYに引っ越して、そこで本格的に写真をやることになったんだ。その時はちょうど怪我もしてたから、スケート以外のことに割ける時間が増えたのも大きかった。
熊谷 僕は幼稚園ぐらいからずっと絵は描いてて。10歳の時にスケートに出会ったんですけど、そこからスケートのグラフィックとかスケーターのアーティストを見てたら、どんどん作品作りがやりたくなった感じですね。

FLJ 自分の中でアートとスケートボードという二つの要素はどのように結びついていますか?
ドーラン アートとスケートボードはスゴく相性がいいんだ。どちらも自分自身を表現することには変わりがないんだけど、表現方法が異なる。自由の表現だよね。
ブライアン スケートボードをして、カメラを持って街を歩き回って、瞬間をカメラに収める。これってドーランが言うように自分自身の表現だよ。スケートを長くやってて思うんだけど、今のようなスケートは永遠にできるわけじゃない。だからスケート以外のアウトプットを持つのはいいことなんだ。ずっと自分らしさをキープできるしね。
ドーラン 若さもキープできるよ。
ブライアン フレッシュさもキープできる。これってスゴく重要なことなんだ。
熊谷 スケートを通じて人とたくさん会うことができるのは大きいですね。スケートをしなかったら見えない世界があるし、スケートをやってるから広い世界をたくさん見れる。広い視野でいろいろな表現ができるんです。
ドーラン 常に新しい出会いがあって、友達ができるからね。
ブライアン 人とのつながりはスゴく重要だから。サンフランシスコに来なよ。

FLJ 日本に来たのは何度目ですか?
ドーラン 日本は初めてなんだよ。
ブライアン 僕は5~6度目かな。前回来たのは去年の9月だよ。

FLJ 日本から受けるインスピレーションは何でしょう?
ブライアン 日本は世界の中でも一番好きな国の一つで、食べ物、人、伝統もそうだし、効率的な社会でリスペクトもある。スケートも最高だ。たぶん東京でスケートするのは大変だろうけど、東京以外でスケート向きの超いいところはたくさんあるよ。
ドーラン ボウリングも最高だよ。
ブライアン ドーランとボウリングをしに行ったんだ(笑)。ドーランが勝ったんだけど。
ドーラン ブライアンはちょっと頭に来てたよな(笑)。
熊谷 本当にボウリングに行ったの?!
ブライアン&ドーラン そうだよ。(熊谷一聖に向かって)今夜行こうよ。

FLJ ドーランは初来日だからすべてが新鮮ですよね。
ドーラン 本当にそう。まず人が多いのに驚いたね。僕が住んでる小さな町と違って、ここでは常に何かが起きてる。あと(ブライアンを指して)、ここにツアーガイドがいるから、ファミリーマート体験ができたよ。
ブライアン ファミリーマートが大好きなんだ(笑)。おにぎり、ピーナッツバターのサンドウィッチ、スナック菓子が大好きなんだ。パンの耳をカットしてあるサンドウィッチなんて最高だよ。あと、お酒も! とにかく何でも手に入るよね。
熊谷 僕は去年、上海、台湾、ソウルに行ったんですけど、上海に行った時にけっこう日本との差を感じたんですよ。街はきれいでスケート・スポットもいいんですけど、食も違うし、人の感じも全然違うんです。やっぱり僕は日本で良かったなって実感しました。


ブライアン・デラトーレの作品。ブライアンは1987年生まれ、マイアミ出身 サンフランシスコ在住のプロスケーター。写真は20代前半にNYで撮り始めており、今回は初のシリーズ作品を展示した。

FLJ 今回のアートショーではどのような作品を展示していますか?
ブライアン 今回はいつもずっと一緒にスケートしてる仲間を写真にしてみたんだ。いつもサンフランシスコのツインピークスっていう丘のてっぺんにある場所でウォーミングアップを始めるんだ。そこでハングアウトしながら、スケートして、ビールを飲んで、チルして、みんなで下って街に出ていくんだ。この写真はすべてがシークエンスでつながっていて、いつも最後にたどり着くのはYamoっていうビルマ料理屋で、安くてスゴく美味しいんだ。ツインピークスから街に向かってスベる時は、降りてくだけだから、プッシュする必要もないんだ。だからこれはストーリー仕立てだね。スケートの写真を展示するのは今回が初めてなんだ。いつもはストリートで撮った写真だし、シリーズではなくランダムに展示してるから。

FLJ 写真はカラーでもモノクロでも撮っていますよね。
ブライアン そうだね。それにどこに行っても撮ってる。その時の気分にもよるし、場所にもよる。クルマで国を横断してれば景色の写真が多いだろうし、標識とか小さな町とかも撮ると思う。日本はカラフルな国なんだけど、何故か日本ではモノクロで撮ってしまうんだよね。
ドーラン 僕のコラージュ作品は、ホームレスの男との出会いがきっかけなんだ。精神分裂の彼が作ったコラージュがスゴいクレイジーで、そこからインスピレーションをもらったんだ。僕の机の上もそんな感じだったから、靴箱に入ってたいろんなものを一枚の紙の上に並べてみたんだ。タバコの空き箱の作品の方は、旅に出た時にあちこちでタバコの空き箱を集めて、これいいじゃんと思って、空き箱の上に顔を描いてみたんだ。野球選手カードの作品は、リサイクルショップで集めた古い野球選手カードに描いたもの。あと、僕がファイン・アートって呼んでる作品群があるんだけど。

FLJ 全然作風が違いますよね。
ドーラン 全然違うよね。カオス、ドット、シンプルなんだ。これはシャーピーとホワイトを使って描いてる。いつも描いてるものとは違うことをやりたくなったんだ。それにファイン・アートを描くっていうアイデアも気に入ってるんだ。

FLJ ドーランはいろんなスタイルがありますよね。
ドーラン そうだね。他にグラフィティも描いてるし、タトゥーもやってる。フレッシュでいたいから、一つのことをずっとやるよりも、常にいろいろやり方を変えるのが好きなんだ。スケートボードからアート、そこからタトゥー、バイク、さらにボウリングとね(笑)。
熊谷 今回展示した3つの風景画は、スケーターと川に遊びに行った時の風景なんです。普段スケーターがフォーカスされるのって、街にいるところとかスケートしているところだけなんですよ。でも僕がスケートしない時も、こうやって一緒に遊んで大自然のところに行くんです。そこでチルしてるところを今回はフォーカスしました。僕はずっと田舎育ちだから、街だけがスケートじゃないし、田舎なりに表現できることもあるなと思ったんです。もう一つのポートレート・シリーズは、全員そうなんですけど、フックアップしてくれた人とか、お世話になってるスケートの友達とかを描いてます。自分がカッコいいと思う人たち、リスペクトできる人たちをこうやって展示することによって、恩返しというか、感謝の気持ちを伝えようと思ったんです。

FLJ 絵を描く手法は?
熊谷 水彩画ですね。他にもいろいろ描くんですが、今回は水彩画の作品を出しました。

FLJ 影響を受けたアーティストはいますか?
熊谷 絵は独学なんですけど、昔の画家、モネとかルノアールといった人たちの絵が好きで。よく美術館で見てました。スケートのアーティストだと、ブライアン・ロッティが好きですね。
ブライアン ブライアン・ロッティはヤバいね。彼の作品も大好きだよ。作風が近いと思うな。ブライアン・ロッティも時々水彩画を描いてるし、2~3年前にベルリンでやったショーでは水彩画を展示していて、ヤバいなって思ったよ。



ドーラン・スターンスの作品。1991年生まれ、カリフォルニア州レイクエルシノア出身、在住のプロスケーター。10代よりイラストを描き始め、タバコの空き箱、古い野球選手カード、車など、さまざまなものにイラストを描いた作品を制作。最近ではタトゥー・アーティストとしても活動。今回はタバコの空き箱、古い野球選手カード、ファイン・アートを展示した。

FLJ ブライアンとドーランは、昨年の8月にパリ、ロンドン、ベルリンでPublic Service Announcementのショーに一緒に参加したんですよね。
ドーラン その時僕はスケートしてなかったんだけど、スレイヤーのライヴに行ったからなんだ(笑)。酔っ払ってシャツを脱いでピットに入ってしまって。気づいたら足首をやってしまってた。

FLJ その時のショーでは今回とは違う作品を展示していたんですか?
ドーラン 同じものも展示したよ。タバコの空き箱作品は人気があるからね。でもそれ以外、今回は新しい作品を見せてるんだ。
ブライアン 全く違う写真を展示してるよ。ヨーロッパでは特にテーマもなく、ストリートの写真を展示したんだ。

FLJ 東京ではストリートの写真を撮っています?
ブライアン 実はシリーズで撮ってるんだ。去年の9月に来日した時も2日間、酔っ払ってヤバい人たちを撮り続けてたよ。HARLEMに行った時は、若いヤツがつぶれて、バウンサーが彼を階段を降りて連れ出していこうとしてたところをすかさず撮ったよ。そういう夜になってヤバくなってる人たちと、昼のビジネスマンとか、信号やバス停で待ってる人とかの日常を撮ってる。光と影なんだ。どちらもモノクロで撮ってるよ。




熊谷一聖の作品。1996年生まれ、大阪府泉南出身、在住のプロスケーター。学生としてデザイン、建築を学びながら、水彩画、色鉛筆画で作品を描いている。今回は水彩画で、スケーター仲間と川に遊びに行った時の絵と人物のポートレートを展示した。

FLJ 今年の予定、今考えている次のアイデアについて聞かせてください。
ブライアン ジンを作りたいね。今までに撮った写真が膨大にあるから、それをどこかのタイミングで本にしてまとめたいんだ。僕はきちんとまとめられない人だから、撮ったネガフィルムをそのままだし、何でも後回しにしてしまいがちなんだ。だけど僕も歳を重ねたら、きちんとまとめた方がいいと思ってるし、そうなる日が来るのは近いんだ(笑)。それが今年の抱負だね。
ドーラン 僕はファイン・アートにもっと取り組んで、金持ちに作品を売りたい(笑)。タトゥーの方ももっとやっていきたいね。新しいことに関しては、僕はあまり考え込むタイプじゃないから、何か思い浮かんだらすぐに始めてると思うよ。
熊谷 最近はずっと個展をやってるんです。本当はめっちゃスケートしたいんですけど。絵の方はもっと大きな作品を描きたいですね。ポートレートももっと描きたい人たちがいるから、いろいろ描いていきたいです。スケートのデッキとかも描けたらいいですし、ジャケットなんかも描きたいですね。

FLJ スケートの方の予定は?
ドーラン 僕と友達のジュリアン・クリンスヴィッチの二人でやってる、VCH Skateboardsっていうブランドをもっとやっていきたいね。別にお金とか名声のためじゃなくて、もっと今のスケートボードに目を向けて新しいことをやっていきたいから。あとは最近ご無沙汰のスケート・ビデオのパートをやりたい。スケートをやり続けることだね。
ブライアン あまり飲みすぎないようにすることかな。健康になりたいから(笑)。ビデオのパートの撮影をやること、取材を受けること、なるべくたくさんスケートと旅を続けることかな。時間が過ぎていくのは早いし、永遠に続くものはないからね。
ドーラン 今を最大限に生かさないと。
ブライアン でもこれって、毎年、新年の抱負で言ってるよ(笑)。街から街へと飛び回って、スケートして、人に会って、パーティして、美味しいものを食べる。日本もそれで来てるんだけどね。良い人生、ピュアな人生を過ごすことだね。
熊谷 僕はツアーも撮影ももっとやっていきたいですね。ビデオのパートも作りたいし。
ドーラン 才能があるんだから、いっぱいやった方がいいよ。
熊谷 歳をとったらスケートができなくなるから、今のうちにもっとやりたいんです。
ブライアン それで歳をとったら、また勉強とかアートとかもっとできるようになるし。それがスマートだと思うよ。

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