August 10,2017
オールドスクール・ハードコアとヒップホップの融合が生んだ突然変異
From FLJ ISSUE 55（07.31.2017）
PHOTO: Yuri Hasegawa
Ho99o9と書いてホラーと読む。そこに組み込まれた謎の数字、999。ニュージャージー出身、現在はLAを拠点とするHo99o9は、theOGM (BlueFace)とYeti Bones (Eaddy)の2人組。音楽スタイルはオールドスクール・ハードコアとヒップホップ。だけど、ハイブリッドなミックスなんかではなく、水と油が同居する突然変異。ライヴではドラム（現ブラック・フラッグのドラマー！）が入り、客と一体化したカオスと熱狂に満ちたステージを繰り広げる。LAの小さなクラブでライヴをやっていた時代からその突出した個性で人気を博していたが、今やグラストンベリー・フェスティバルにも出演するほどの大人気。それでもワープド・ツアーのキックオフ・パーティでウェディング・ドレスを着て叫んで顰蹙を買ってツアー降板となったり、SXSW（サウス・バイ・サウスウエスト）の時は客のモッシュがスゴすぎて2曲で中止になったりと、けっこうやらかしている。そんなHo99o9が今年5月5日にデビュー・アルバム『United States Of Horror』をリリースした。theOGM (BlueFace)とYeti Bones (Eaddy) をLAでキャッチした。
FLJ 二人のバックグラウンドから聞きたいんだけど、どんな子供だったの？
theOGM (BlueFace) 俺が育ったのは、ニュージャージー州のエリザベス／リンデンで、両親はハイチ人。厳しい家庭で育って、ママは教会の熱心な信者で、俺のやることなすことすべてに反対してた。親父は9時～5時の仕事をやってたんだけど、ベース・プレイヤーで曲も作るし、DJもやってた。祝日を祝ったことなんてなかったね。ハロウィンもクリスマスさえも。感謝祭の時だけちょっと何か料理するぐらいだった。俺がヒップホップに出会ったのは、HOT97を聴いて、ボックス・チャンネルの96、MTV、BETのRap Cityを観るようになってからだ。あと、レスリングが一番イルでヤバかったな。WWF / WWE X WCW。
Yeti Bones (Eaddy) 俺はニュージャージーのニューアーク出身だ。通称ブリック・シティで、レッドマン、アイス・T、ノーティ・バイ・ネイチャーがそこの出身だ。俺の地元は、ギャング、ドラッグディーラー、ホームレス、ドラッグ中毒が多かった。だけどそういうのには染まらず、自分らしく生きてきたよ。
FLJ 最初に好きになった音楽は？ そこからどのように音楽の幅を広げていったの？
theOGM (BlueFace) 最初はKOMPA。ストレートなハイチ音楽。そこからラップ、ヒップホップ、R＆Bが来た。
Yeti Bones (Eaddy) モータウン。ザ・テンプテーションズ、スモーキー・ロビンソン。ヒップホップはTVを観て知った。そこからはネットで新しい音楽、新しいジャンルにハマっていった。
FLJ 好きだったラッパー、バンドは？
theOGM (BlueFace) ボーン・サグズン・ハーモニー、バスタ・ライムス、ONYX、DMX、ウータン・クラン。
Yeti Bones (Eaddy) ボーン・サグズン・ハーモニー、ザ・ディプロマッツ、The Lox、バッド・ブレインズ、マイナー・スレット、ミスフィッツ。
FLJ 自分で音楽をやろうと思った理由は？
theOGM (BlueFace) シャイだったから。
Yeti Bones (Eaddy) カオティックで狂ったライヴに行って、モッシュして、間違えて誰かの頭蓋骨にひびを入れる、そういう経験。
FLJ 二人が出会ったいきさつは？
theOGM (BlueFace) 墓地で出会ったんだ。俺が穴を掘ってたら、こいつが穴に飛び込んできた。
FLJ Ho99o9を結成した時のアイデアは？
theOGM (BlueFace) Ho99o9は科学の実験として始まったんだけど、遠くまで来すぎたようだな（笑）。今でもA+の成績を取りたいんだけど。アイデアは忠誠心だね。
FLJ Ho99o9（ホラー）という名前をつけた理由は？ ホラー映画が好きとか？
theOGM (BlueFace) ホラーは地元、法廷、自宅、トイレット、教会、職場、電話にある。俺たちはそこから生まれたものなんだ。
Yeti Bones (Eaddy) 俺の人生はホラー映画みたいなものだから。血を見ると興奮するんだ。アイデアはブラックホールの中にある。何も考えずにそこに飛び込まないと理解はできない。もしかしたら帰ってこれないかもしれない。だけどそのスリルを味わう価値はあるね。
FLJ ニュージャージーで育ったのはどんな感じだった？ そこから得たインスピレーションは？
theOGM (BlueFace) 美しいけど最悪。いいところにも住んだけど、悪いところにも住んだ。その両方の影響で、自分の行動、ものごとの決
定、つるむ相手が決まるんだ。自分の音楽にインスピレーションを与えるものもあれば、与えないものもある。俺は気分屋だからな。
Yeti Bones (Eaddy) タフだったし、厳しかったよ。ゲットーだったし、人間としては最低の生活レベルだった。でもそれが今の自分を作ったんだ。地元から受けたインスピレーションなんてないね。俺は自分自身からインスピレーションをもらうから。
FLJ NJstreetKLANっていうのは何？
theOGM (BlueFace) NJstreetKLAN aka JerseyKLAN は俺たちが2010年に結成した軍団だ。当時はA.L.I.E.N. NYCと提携してた。俺、Eaddy、Vic、Neh、Morufがメンバーだ。ニュージャージーのアンダーグラウンドで活動する俺たちと他のアーティストにとってプラットフォームとなるものを作りたかったんだ。
FLJ Ho99o9はハードコア・パンクとヒップホップという2つの異なる世界を結びつけてるよね。どのようにしてこの2つをミックスしてる？
theOGM (BlueFace) KryptonとEarthのようなものだよ。決して結びつけることなんてできない。破壊するだけだ。
FLJ 初ライヴは覚えてる？
theOGM (BlueFace) 2012年11月だよ。ニュージャージー州ニューアーク、元はMetropolitanと呼ばれてたスポット。
FLJ 結成当時、どのようなファンが観に来たの？ そこからどのようにファンベースを広げていったの？
theOGM (BlueFace) 俺たちのシーンをサポートしていたヤツらと同じだよ。フッドにニガー、スケーター、学生、ストリッパー、ゴミ収集
人、お母ちゃんたちと野郎どもだよ。
Yeti Bones (Eaddy) 友達、仕事仲間、クラックヘッズ、敵、仲間。そこからもっと大人の客、今もスラムダンスが好きで2ドルのビールで調子良くなっちゃうおじいちゃん、おばあちゃんたちの客が増えていった。
FLJ SXSWのライヴでは、2曲で演奏中止になったらしいね。
theOGM (BlueFace) Oops.
Yeti Bones (Eaddy) やりたい時にやりたいことをやらせておけばいいのさ。
FLJ ho99o9にとってヴィジュアル・イメージは重要？ ウェディング・ドレスを着る理由は？
theOGM (BlueFace) 生まれたての赤ちゃんと同じくらい重要だよ。ウェディング・ドレスを着る理由は、結婚生活を信じようが信じまいが、死ぬときは一人だからだよ。
FLJ ライヴの時のドラマーはブラック・フラッグのブランドン・パーツボーンなんでしょ？
theOGM (BlueFace) そうだよ。ネットのメンバー募集を見て知り合ったんだ。
FLJ ニュー・アルバム『United States Of Horror』のアイデアは？
theOGM (BlueFace) シンプルだよ。戦争と平和。愛と憎しみ。
Yeti Bones (Eaddy) 変顔。耳。Assholes。溶けた魂。
FLJ 今のアメリカの状況からうけるインスピレーションは？
theOGM (BlueFace) 何の状況？
Yeti Bones (Eaddy) 大麻の合法化は良いアイデアだと思う。
FLJ 音楽をやる時の二人の役割分担はどんな感じ？
theOGM (BlueFace) その日によるね。バンドでフルセッションをやる時もあれば、一人のプロデューサーと曲作りをする時もある。音楽がいつも俺に話しかけてくるんだ。リリックはそこから書く。早くできる曲もあれば、ゆっくり作る曲もある。ヴァイブス次第だね。二人で一緒に作る時もあれば、バラバラで作る時もあるから。
FLJ 今は世界中をツアー、フェスで回ってるんだけど、好きな場所、思い出深いライヴはある？
Yeti Bones (Eaddy) 好きな場所はロンドンのヒースロー空港だね。Wi-Fiがバッチリでしかも無料なんだ。思い出深いライヴは、グラストンベリー・フェスティバル。地下鉄の中でライヴをやらされたんだよ！
FLJ 日本の読者にメッセージを。
theOGM (BlueFace) I love you ♡ 近々日本に行きたいね。
Yeti Bones (Eaddy) FUCKING SLAM
FLJ 夢、野望は？
theOGM (BlueFace) 医療制度を無料にして、病気知らずに。
Yeti Bones (Eaddy) リアーナとの間に子供を何人も作りたい。猫の託児所をオープンしたい。
『United States Of Horror』
（Toys Have Powers）
5月5日リリースのデビュー・アルバム
