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GRYFFIN

June 27,2017

エモーショナルでポジティヴな歌と音で注目の新進気鋭EDMアーティスト

From ISSUE 54 (05.31.2017)

神話に出てくる鳥のような生き物をイメージしたというアーティスト名のグリフィン。高揚させる音楽、ポジティヴな音楽を言い表すというグリフィンの素顔は、母親が日本人の日米ハーフ、NY出身、現在はLAを拠点とするアメリカ人アーティスト、ダン・グリフィスだ。いわゆるEDMの中でもちょっと異色の存在で、ライヴではギターやピアノを弾くし、楽曲の方も、ポジティヴなメッセージを持った歌と生楽器を軸に、エレクトロニックで音の肉付けをしたメロディックで美しいサウンドを展開している。リミックス仕事で注目を集め、現在発表しているオリジナル楽曲はまだ3曲のみ。すでに世界中のフェスでも引っ張りだこのグリフィンに話を聞いた。

FLJ 音楽にハマったきっかけを聞きたいんだけれど。
グリフィン クラシック音楽のピアノは7歳の時から始めたんだ。それで、11~12歳の時にギターをやろうと思って。そしたら親父がエレキギターを買ってくれて。ハイスクールでは友達とバンドを組んでたね。音楽はずっと好きで、しばらくするとエレクトロニック・ミュージックを聴くようになったんだ。

FLJ 最初に衝撃を受けたエレクトロニック・ミュージックは?
グリフィン ダフト・パンクの『アラウンド・ザ・ワールド』だね。それでスクリレックスとかスウェディッシュ・ハウス・マフィアがアメリカでも人気が出て来た時に、自分でもこういう音楽をプロデュースできたらいいなって思うようになったんだ。音楽制作ソフトのエイブルトンをダウンロードして、音楽制作を始めたんだ。同じ頃、カレッジに通って電気工学の勉強を始めるようになった。音楽の方はそこまで追求するつもりはなかったんだ。メインは電気工学の勉強で、時間の空いた時に自分の部屋で音楽制作をやっていた。

FLJ どこかの時点で、電気工学の道じゃなく、真剣に音楽の道を行こうと思ったわけだよね?
グリフィン 最初は遊びで自分の音楽を発表したんだ。エリー・ゴールディングやミスター・ワイズのリミックスを作ってね。でもインターネットで発表したとたん、あちこちで取り上げられ、一気にファンがつくようになったんだ。それでさらに音楽を発表したら、インタースコープ・レコードからメッセージが来たんだ。「キミの音楽をスゴく気に入ったので、リミックスをやってもらえないか?」とね。それでトーヴ・ローのリミックスとマルーン5のリミックスを引き受けた。そこからさらにいろんな人たちからメッセージが来るようになった。「LAでプレイしてもらえないか?」とかね。そこで思ったんだ。これは自分の好きなことで仕事になるのかもしれないって。だから今やってるんだよ! 最高だね。その時の選択が違ってたら今ここにはいないだろうしね。電気工学をやってたらおそらく一生地元だったね(笑)。

FLJ リミックス作品をいくつか発表した後、初のオリジナル曲を発表する時は、どういうアイデアがあったの?
グリフィン どんな曲でもそうなんだけど、僕はいつもヴォーカルだけ残して、他の音は全部外して、そこからリミックスを作り始めるんだ。ヴォーカルだけにフォーカスして、そこからプログラミングを始めて、ギターを乗せたり、いろいろ声に合わせて音を構築していくんだ。オリジナル曲を作る時も、基本は同じやり方で作っている。最初に発表したオリジナル曲の「Heading Home」は元々はデモだった。ジョセフ・サルヴァトというシンガーがオルガン、ピアノをバックに歌ってるごくベーシックな曲だった。僕は一発で気に入って、彼からヴォーカルのヴァースの1番だけ送ってもらったんだ。そこからピアノ、ギターを乗せて、ヴォーカルもエディットした。ジョセフの方もヴァースの2番とかブリッジも作って、お互いに出来次第、曲を送り合うようになった。僕は当時NYで、ジョセフはロンドン。実際に二人が初めて会ったのは曲がリリースしてから半年後のことなんだ。僕の2度目のライヴがLAのエル・レイ・シアターで行われた時に、彼がロンドンから飛んできて、ライヴで一緒に歌ってくれたんだ。

FLJ オリジナル曲の2曲目「Whole Heart」のアイデアは?
グリフィン この曲は1曲目と制作スタイルを変えたんだ。この曲もヴォーカル、リリックにスゴいエモーションが込められている。僕はいつもと少し違うことをやってみようと思って、アコースティック・ギターを使ったりしたよ。この曲はロンドンのジェームズがオリジナルの歌を作ってきて、そこからいつも通りヴォーカルだけ残して、そこに自分のギターを乗せていったんだ。基本、ギターで曲を作って、そこにエレクトロニックの音を肉付けしていった。曲が完成した時に、シンガーのバイポラー・サンシャインに歌ってもらったらいいなと思って、彼に曲を送ったら、すぐに気に入ってもらって、翌日には録音して、僕に送って来たんだ。それを1ヶ月後にリリースしたってわけさ。バイポラーは今では親友だしね。コーチェラ2017でも一緒で、ステージで歌ってくれたよ。

FLJ 3曲目の「Feel Good」は?
グリフィン 最初に、この曲のシンガーであるデイヤから曲をもらったんだ。彼女の歌とピアノだけだった。彼女の声が良くてすぐに曲を気に入ったんだ。ちょうど僕はアメリカでのツアーを終えたばかりで、コロラド州デンバーにいた。この曲のもう一人のプロデューサーであるIlleniumのニックがデンバーに住んでたから、ライヴの後に彼の家に車で行って、一緒に曲を制作したんだ。それをデイヤに送ったら、超気に入ってくれて。LAに戻って、僕と彼女、トビーの3人ですべてを完成させたよ。ブリッジ、ヴァースの2番を書いて、曲をまとめたんだ。この曲もスゴく気に入ってるよ。

FLJ ライヴはどういうスタイルでやってるの?
グリフィン ライヴではステージでプレイする楽器のパートを外したバックトラックを用意するんだ。ステージではドラム、ピアノ、シンセサイザー、ギターをなるべくプレイするようにしているよ。ライヴ向けのエディットもけっこうやるね。僕としても昔やってた演奏を今もできるのも楽しいし、お客さんにはエレクトロニック・ミュージックに何かプラスしたスペシャルなものを見せたいんだよね。せっかくショーに来てくれてるんだからさ。DJが両手を宙に上げる以上のことを見せたいんだ。

FLJ 今のEDMのシーンについてはどう思う?
グリフィン スゴい勢いで広がって、誰もが同じような音楽を作って、同じことの繰り返しだから、みんな飽きてきてる。だけど、今また新しいフェーズに突入したような感じがするんだ。ディープ・ハウス、フューチャー・ベース、ダブステップとか、いろんなジャンルがあって、スゴく広がりを見せてるよね。みんなが今エレクトロニック・ミュージックの中でもどういうタイプの音楽が好きなのか発見している感じがするね。だからEDMって言葉は、どういう音楽なのか言い表すには大きすぎるものになってしまった。だけど、良い居場所だよ。今や新しくてクレイジーなものじゃなくなってしまったけど、進化してるし、一つの人気音楽ジャンルになったんじゃないかな。それこそヒップホップのようにね。

FLJ ゆくゆくはどういうアーティストになっていきたい?
グリフィン 常に意味のある音楽を作っていきたい。ちゃんとしたメッセージのある音楽で、聴いた人がちゃんとエモーションのレベルでつながれるような音楽。もし自分にそれができるのであれば、僕はアーティストとして本望だね。いつかはグラミー賞も獲りたいね。あと、他のアーティストのプロデュースもやりたい。まあ実際にはもう始まってはいるんだけど。それはグリフィン名義ではないんだ。グリフィンの新作としては、この夏、EPを発表するよ。既に発表した3曲と新曲3曲の全6曲入りEP。それで来年頭にはアルバムを出したいね。


Gryffin「Heading Home (feat. Josef Salvat)」
Gryffin & バイポーラ・サンシャイン「Whole Heart」
Gryffin & Illenium「Feel Good (feat. Daya)」
(ユニバーサルミュージック)
デジタル配信中

gryffinofficial.com
www.universal-music.co.jp/gryffin

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