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DONY JOINT

June 20,2017

KANDYTOWNからまた新たなラッパーのソロ・デビュー

PHOTO: Jesse Kojima

From ISSUE 54 (05.31.2017)

総勢16名のヒップホップ・クルー、KANDYTOWNから、IO、YOUNG JUJUらに続いて、DONY JOINTが待望のソロ・デビューを果たすこととなった。制作陣には、Jashwon、RYOHU、Neetz、MURO、KASHI DA HANDSOME、ロンドンのTHE PURISTらが参加。KANDYTOWNのメンバーも客演する中、RYOHU、IO、BIG SANTA CLASSIC、DJ MASATO、今は亡きYUSHI からなるBANKROLLの面々で制作した「B Right」も収録されている。KANDYTOWNから出てきたまた新たな個性をチェックしてみてほしい。

FLJ どういうところから音楽にハマっていったんですか?
Dony Joint 地元にBANKROLLっていうクルーがあって、その人たちと出会ったのが一番のきっかけだと思います。そのBANKROLLのメンバーだったYUSHIに、ヒップホップだけじゃなくてソウルとかも教わったし、その他にも音楽以外のこととかも教わっていて、それがきっかけでどんどんハマっていきましたね。親がブラック・ミュージックを聴いてたっていうのもあって、小さい頃に自然と聴いてたものが体に染み付いてたのかなっていうか。スーっと自分の中に入ってきて、音楽は自然と聴くようになってましたね。

FLJ 物心が付いた時には、ブラック・ミュージックが身近にある環境にいたんですね。
Dony Joint そうですね。BANKROLLのみんなが元々ラップをやってて、遊びがラップだったんです。で、「じゃあおまえもやってみるか?!」って言われて、一緒にラップして遊び始めて。それで気づいたらこうなってたって感じですね。

FLJ 「ラップやってみるか?!」って言われて、最初からすんなりやれたんですか?
Dony Joint 見よう見まねじゃなないですけど、誰かの真似をすることから始めて手探りでやってました。今じゃ恥ずかしいくらいの変なリリックとか書いたりしてて(笑)。

FLJ ラップにはすぐハマったんですか?
Dony Joint そうですね。感覚的には、普通の子がサッカーをする感じでしたね。サッカーして遊ぶっていう感じで、曲作って遊ぼうかって。それがスゲー刺激的で楽しかったです。周りがそういう遊び方をしてたから、俺も自然とそういう遊び方をしてたっていう感じですね。

FLJ 今までで影響を受けたアーティストは?
Dony Joint 一番どっぷりハマったのはウータン・クランですかね。今でもウータン・クランのライヴ映像を、自分たちがライヴする前に観たりするし、そのライヴが好きすぎてライヴCDまで買って聴きまくって。それは昔も今も変わってないですね。

FLJ 元々は遊びだったラップを今はアーティストとしてやっていますが、音楽で食べていこうっていうマインドになったきっかけは?
Dony Joint 音楽で食っていこうっていうよりは、今はこれくらいしかやることがないからっていうのが一番デカいですかね。とりあえず今はソロとしてアルバムを一枚作って、一つの作品を出したい段階というか。

FLJ ソロとしてデビューするタイミングとしてこの時期を選んだ理由は?
Dony Joint 本来はもっと早く出る予定だったんです。でも、ビートとかいろいろ凝ったりしたところもあって、このタイミングになりました。ソロとしての作品を、そろそろ一枚作っておかなきゃなっていうのはずっと思ってて。今まで遊びで作ってきた中で、ちゃんと自分の作品として一枚作ったっていうものがなかったので。そういうのもあって、KANDYTOWNがメジャー・デビューして良い流れの中で、自分の作品を作らなきゃなっていう気持ちでした。

FLJ 1stアルバム『A 03 Tale, ¥ella』はどんなテーマで作られたんですか?
Dony Joint 制作に対してのテーマは、初心忘れるべからずじゃないですけど、やっぱり楽しんで作ろうと思って。昔やってたみたいな、遊びながら書いたりしてたようなノリで。仕事だっていうよりも、音楽を楽しんでありのままの感じを出せればいいなと思って作っていたんで、割と自然ないつもの自分をそのまま出した感じですね。

FLJ ソロとしての一枚目だからといって気負うことなく作れたって感じなんですね。
Dony Joint そうですね。ただ、KANDYTOWNはKANDYTOWNの色、ソロはソロの色があるんで、自分もソロとしての色を出せるようにっていうのは考えました。

FLJ 自身が思う自分の色っていうのはどういうところですか?
Dony Joint やっぱりビートのチョイスが一番ですかね。

FLJ KANDYTOWNでの自分の見せ方と、ソロでの見せ方の違いは?
Dony Joint だいぶありますね。KANDYTOWNだと人数もいるので、ステージに立ってても心強いし、やりやすいっていうのもあるんですけど、ソロだと一人なので、今はフレッシュな感じでいっぱいですね。逆にいろんな難しさも知ったりとかもあるし、ソロでの挑戦じゃないですけど、そういうのを考えたりもしてますね。

FLJ 音楽的なアプローチでの違いはありますか?
Dony Joint ソロの場合は曲のコンセプトとかも全部自分で決めてるので、ホント好き勝手やってるって感じです。

FLJ 今回、客演やプロデューサーもかなり豪華なメンツですが、どのように選んだんですか?
Dony Joint かなりいろんな方からビートを聴かせてもらっていて、今までのKANDYTOWN的なイメージのビートだったり、使いたいビートがたくさんあったんですけど、自分の色をもっと出したいっていうのもあったし、今までのイメージとはちょっと違うビートでやってみようかなっていう感じで選んで、こういう形になりました。とりあえずフレッシュさを求めてましたね。

FLJ ソロでの一枚目となると、これをきっかけに初めて聴いてくれる人も増えると思うし、最初のアルバムの印象って重要ですよね。韻の踏み方や言葉のチョイス、フロウに関して意識してやった部分とかはありますか?
Dony Joint 多少の変化はつけようとは思ってたんですが、ほとんどその場のノリでみたいな感じだったんで。

FLJ じゃあ曲作りに関しても、「よし、曲を作るぞ!」っていう感じよりは、自然と無理をせず作っていった感じですか?
Dony Joint そうですね。でも、若干時間に追われた部分もあったんですけど。でも、逆に集中して制作に打ち込めたっていうのもあるかもしれないですね。例えば、Ryohu君が参加してくれてる「Good Times feat. Ryohu」って曲とかは、最初にもらったビートで「超ヤバい!」みたいになって。さらに、いろいろ話してるうちにどんどんビートが付け加えられていって。それと同時進行でリリックを書いてたんで、あれはけっこう楽しかったですね。良いノリが出たと思います。リリックに関しても、自分たちのライフスタイルがそのまま出されてる感じなんで、俺らはこんな生活をしてて楽しんでますみたいな、本当にそんなノリですね。今回はNeetzがずっとエンジニアとして付いてくれてて、レコーディングのアドバイスもしてくれたので、そこはかなり助かりましたね。たまに疲れてくると「あれ? Neetz大丈夫?!」って感じになっちゃってましたけど(笑)。でもしっかりやってくれて本当に助かりました。

FLJ アルバム・タイトルの『A 03 Tale, ¥ella』にはどんな意味が込められているんですか?
Dony Joint 読み方は、「ア・ゼロスリー・テール・イェラ」なんですけど、最初は「¥ella」だけにしようかなって思ってたんです。この「¥ella」っていうのは、簡単に言うと「自分の仲間」っていう意味で、自分が作った造語なんです。「Goodfellas(グッドフェローズ)」っていう映画があるんですけど、Fellasって仲間って意味じゃないですか。この言葉を思い付いた時に俺はNYにいて、人種についてもいろいろと考えていた時期で、自分の肌は黄色いということに誇りを持とうっていう意味も込めて、「Yellow」と「Fellas」を足した言葉を作ったんです。で、自分の仲間たちに富をっていうニュアンスも入れて、「Y」を「¥」にしました。この¥ellaだけをタイトルにするのも良かったんですけど、ちょっと寂しいかなと思ってきて。このアルバム自体が自分たちのライフスタイルみたいな感じなので、東京の物語っていう感じでこの「A 03 Tale」って言葉を入れたんですけど、実はこれは『A Bronx Tale』っていう映画からサンプリングして入れました。

FLJ かなり深い意味が込められてるんですね。それを知ってから曲を聴くと、また違って聴こえそうな気がします。実際にこのアルバムが完成してみてどうですか?
Dony Joint 一つの区切りが付いたって感じですけど。今は一つ終わったけど、次は何をやろうかなっていう気持ちが強いですね。

FLJ これを作ったことによって先が見えた部分もあると。
Dony Joint そうですね。「これでやっと次に行ける!」って感じですね。

FLJ 今後はどういう活動をしていく予定ですか?
Dony Joint とりあえずは良い曲を作って、良いライヴをしたいって感じですね。あとは、映像もやりたいですね。

FLJ ライヴを意識して曲を作ったりもしますか?
Dony Joint やっぱりライヴっぽい曲が欲しいなって思って書いた曲もありますね。GottzとDIANにフィーチャリングしてもらった「Eyez On Me feat. Gottz, DIAN」って曲とかは、一番ライヴを意識して作った曲だと思います。まだライヴでやってないんで、これをやる時が楽しみです。KANDYTOWNとしてでも新しいものを作りたいし、ソロとしても止まらないように動き続けていきたいんで、曲は作りつつ。他に面白そうなことをドンドンやっていきたいなと思ってますね。

FLJ KANDYTOWNのメンバーや仲間うちにはアルバムをもう聴いてもらってたりするんですか?
Dony Joint たぶんみんなにはまだ聴いてもらってないんじゃないかな?

FLJ じゃあ外からのリアルな反応みたいなものはまだ全然得てないんですね。
Dony Joint 全然ですね! むしろ今回のこのインタビューが初めてって感じです(笑)。まあ、何人かには聴いてもらってはいるんですけど、俺データで渡すのがあんまり好きじゃなくて。CDとしてパッケージされた状態で渡したいなっていうのがあるので、CDが完成してからでいいかなと思ってて。

FLJ パッケージされた状態で渡したいっていうのはありますよね。曲だけじゃなくて、CDのアートワークも含めての作品ですよね。
Dony Joint 間違いなくその通りです! すべてを含めてアルバムを聴いてほしいですね。



『A 03 Tale, ¥ella』
5月24日リリース
(P-VINE / BCDMG)

Instagram
@donyjoint

kandytownlife.com

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