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ANARCHY

April 01,2019

1万3000円で数量限定生産のCDアルバム『The KING』をリリース

From FLJ ISSUE 65(3.30.2019)

PHOTO: cherry chill will.
STYLING: Keisuke Kanoh (naked tokyo)
HAIR & MAKE-UP: Atsushi [HairSalon F]

昨年はレコード・レーベル/クリエイティヴ・プロダクションの「1%」を立ち上げ、若い才能を育てることにしたり、今年は自ら初監督を務め、俳優の野村周平が主演する映画『WALKING MAN』を公開予定だったりと、今のANARCHYの動きは見逃せない。そしてラッパーとしても、3月13日に1万3000円で数量限定生産のCDアルバム『The KING』をリリース。メジャー3作目となるこのアルバムは、ANARCHYを含めた13人のラッパーで構成された13曲を収録し、今の日本のラップの最前線を映し出したような内容になっている。そして話題となっている1万3000円という価格設定にも、ANARCHYならではのメッセージが込められているのだ。

FLJ ANARCHYさんは、人生の中でおそらくターニングポイントっていくつかあったと思うんです。ラッパーになりたい、メジャーでやりたい、若手を育てたいっていうのがあって、今回映画を作りたいというのがあったと思うんですが。
ANARCHY ありますね。幼少期からそうですし、たぶんラッパーやったっていうのもあるんですけど、自分でターニングポイントにしていきましたね。パートナーたちに出会った時もそうやし。一番のターニングポイントはそこかなと思う。あの地元で生まれたっていうのから始まって、何もなかったところから自分はラップというものでやっていこうと決めていった。メジャーに行こうとか、映画を作ろうとか考えるのはもうちょっと経ってからですね。夢は大きく見ると変わらないんですけど、やってくうちにやりたいことも多少は変わってくるし、もっとやりたいことが出てくるし、考え方も変わってくる。でもすべてをターニングポイントにして、自分をそういう場所に置くのが俺は好きなんで。チャレンジできる環境をもらえてることが、俺は何よりもありがたい。お金を稼ぐことよりも、良い暮らしをして欲しいものを買うよりも、自分が作りたいものを作りたいんです。その作りたいものを作るのって、けっこう口で言うのは簡単でも、そこまでのモチベーションに持っていくのがスゴく難しいんですよね。できもしいひんことを大口叩いて現実にしていくじゃないけど、「こんなことをやってやる」っていうのは、常に思ってますね。

FLJ 去年から今年にかけて、1%を立ち上げたり、映画を作ったりと、けっこう攻めていますよね。
ANARCHY 攻めてますね。映画もそうなんですけど、やっぱりモノを作ることが俺は好きやし。それが僕の仕事でもある。音楽は今まで通り作るんやけど、それ以外にもいろんなことに挑戦して何かを作っていきたい。そういう面では、良い時に1%のタイミングがあったのかなとは思います。

FLJ 1%では今までにはない、若手を育てるということを始めたわけですが、実際にやってみてどうですか?
ANARCHY ラッパーとしては一応先輩なんで、WILYWNKAにもLeon Fanourakisにも、自分が言えることは言うんですけど、特に言うことはないというか。今歌いたいことに関しては彼らにもあるので。どちらかと言うと、見守ってるというか、俺が言えることを言ってるだけです。1%の会社のことに関しては、パートナーにまかせて進めてもらってて、俺は自分の好きなことをやらせてもらってるだけです。

FLJ そういう活動の中で今回、本業のラッパーとしてのアルバムを出すわけですよね。前に話した時、今回はヒップホップにこだわりたいっていうことを言っていましたが、実際、ラップの楽しさを満喫できるような作品になったと思うんです。アルバムを作るに当たって、どういうものを作ろうというアイデアがありましたか?
ANARCHY 今回は、自分を出し切るとか、自分のカラーというよりも、いろんなラッパーとやるミラクルが起きる、その楽しさですね。次のアルバムではもっと自分を出して、自分のことを歌おうかなとは思ってますけど、今回は自分一人ではできないものを作りたかったっていうのが一番ですかね。

FLJ 今日本のヒップホップが盛り上がっている中で、イケてるラッパーたちをゲストとして迎えて、ちゃんと彼らの良いところを見せているとともに、いろんなスタイルのビートでいろんなラッパーに合わせたANARCHYというものもちゃんと見せていますよね。
ANARCHY 俺がいろんなラッパーに力を借りたっていうのが一番近いかな。自分にできひんことをできる人たちに協力してもらってるんで。彼らに合わせた部分もあったと思うし。いろいろな聴き方ができるし、1曲1曲が面白いとは思ってますし、気に入ってますね。

FLJ そこは作っていても楽しめたんですね。
ANARCHY 楽しんで作ったし、そんなに苦労をしていないです。タイミング的に映画とかぶってたんで、スケジュール的に大変っていうのはあったんですけど、音楽を作ることに関しては、苦労した感じは今回はなかったですね。

FLJ 1曲ごとにゲストの色があるから、曲ごとに色がつきやすかったのも、やりやすかった理由ですかね?
ANARCHY やりやすかったですね。音楽を作る時って、それなりに真剣なモードになりがちなんですけど、今回はもっと遊びに近い感覚で作れたっていうのがありました。

FLJ ゲストの人選はどう決めていったんですか?
ANARCHY 人選は、一緒にやりたいなって思う人。初めは何も関係なしに、この人と作りたいっていう人たちとパッパッといろんなところで作っていって。最後の方になって、足りない部分を探していきました。

FLJ 1%所属の若手もいるし、今をときめくラッパーもいるし、レジェンド枠もあって、ゲストのバランスもスゴくいいですよね。
ANARCHY 今回はけっこう関西勢を使えたのが良かったですね。大阪は低迷してる時期もあったので。でも今の関西は、WILYWNKA、Jin Dogg、Young Cocoみたいな若くて面白いのが出てきてる。そういううれしさもありますね。あの子たちに関しても、俺がフックアップしてる感覚はないです。

FLJ アルバム収録曲についても聞きたいのですが。アルバム最初の曲はゲストなしで一人でやっていますよね。アルバム・タイトルでもある「The KING」には意味合いも込めていると思うのですが。
ANARCHY 今はみんなスタイルが違ってるし、トラップもあったりして、ヒップホップはこれっていうのがなくなってるような時代じゃないですか。でもラッパーの根本にあるものって、「俺が一番ヤバいやろ」「俺が王様やろ」っていう気持ちで、俺もそう言ってるんですけど、みんなにもそう思っててほしいんです。そういう気持ちを込めて作りました。

FLJ 「Run It Up feat. MIYACHI」では、「自分の価値を上げろ」ということをテーマにしていますね。
ANARCHY 「いくらいくらいくら?」っていうリリックそのままで。このアルバムを1万3000円で売る意味もそうなんです。

FLJ アルバムに1万3000円という価格をつけた意味は?
ANARCHY 例えばコーラが130円とかで売られてるのと一緒で、音楽の価値を俺は決められないんですよね。でも本当は作った人が「この値段や」って言ったら、それがモノの価値になるわけじゃないですか。これはパートナーとローリン・ヒルのライヴをビルボードライブ東京に観に行ったことが俺の中でけっこうデカくて。チケット代が4万円で、二人で8万円だったんです。正直、高いなと思いながら、それでも観たいから観に行ったんです。それで観終わった後は、全然高いと思わなかったんですよ。でもそれってつけられた値段じゃないですか。そこがスゴいなと思って。その値段で満足する人もいれば、そんな価値ないわって言う人もいると思う。だから俺のCDも、その価値があると思った人、本当にそのモノを欲しいと思った人が買ってくれたらいいなと思って。音楽はCDを買わなくても聴けるじゃないですか。1万3000円を出さなくても聴ける。だから俺はモノの価値をつけてみました。

FLJ 1万3000円を出そうと思う気持ちも、聴き終わった後にその価値があったと思う気持ちも、聴き手にとっては新しい経験にもなりますね。
ANARCHY そうやし、買ってくれた人は大事にしてくれるんじゃないかな。良い服を買った時にこの服を一生着たいとか、好きな車を買った時にこの車に一生乗りたいとか。そういうモノに対する感覚のような気がして。そういうモノになればいいなと思ってますね。

FLJ 1万3000円にしようっていうアイデアはふっと湧いたんですか?
ANARCHY 値段までは決めてなかったですけど、自分で値段をつけたいとは思ってて。iTunesのような値段ではないものにしたかった。ダメ元で言ったんですけど、乗ってくれて(笑)。会社からすれば、「こいつ何言ってんだ?」ってなりますよね(笑)。仕事をしてる人からすれば、勝ち負けとか、儲かった儲かってないっていうのはスゴく大事なことだし、それはスゴくわかるんだけど、俺たちにとって、自分らがワクワクして面白いことをやりたいっていうのがテーマなので。今回はそれができましたね。

FLJ 「Kill Me feat. 般若」では、般若との二人のやり取りがとにかくスゴくて、炸裂していますね。
ANARCHY (笑)この曲は般若やねと思いましたね。般若に触発されてやった部分もありますね。

FLJ 「俺に喧嘩売るならそれなりの覚悟しときな」と「鋲ジャン着てくわえ煙草 シドビシャス」で韻を踏んでいるのヤバいですね。
ANARCHY いいところ見てますね(笑)。

FLJ それに対する般若もスゴい韻の応酬ですよね。
ANARCHY パンチラインを出してくるんですよ。「例え四つん這いの俺 vs お前だとしても貴様に余裕無い」って、四つん這いでも俺に勝ち目がないって言ってるんですよ。「何言ってるのこの人?」と思って(笑)。般若節、全開ですよ。般若はずっと一緒にやりたかったラッパーだったんですけど、アルバムはコンセプトを決めてけっこう作りがちやったんで、なかなかやれる機会がなくて。企画ものでは何曲か作ったんですけど、お互いのアルバムには一回も入ったことがないんですよ。俺が好きなラッパーやのに、俺のアルバムに初めて入ってもらったんですよね。ここのタイミングやと思って。

FLJ お互いの楽曲に客演するというよりも、格闘技っぽい共演ですね。
ANARCHY 異種格闘技感はある気がしてて。混ざり合ってミラクルが起きればいいなと思って作りました。今回できて良かったです。

FLJ 「Where We From feat. T-Pablow」ではBAD HOPのT-Pablowが参加していますね。
ANARCHY 元々T-Pablowを入れるっていうつもりはなく、とりあえず曲を作ってみて、曲が出来上がった時に、何か足りひんぞと思ったのかな。このヤンキーshitにはあいつが欲しいなと思って。俺もT-Pablowとはやりたいなと思ってたので、この曲やったら合うなって思いましたね。この曲はけっこうフッド・ソングやし、あいつも川崎フッドで、同じようなラフな環境で同じような思いをして育ったヤツなんで。1対1で一回やってみたいなと思いました。

FLJ T-Pablow、BAD HOPは今の若手で最も勢いがあるラッパーじゃないですか。そこはどう見ています?
ANARCHY ああいうヤンキーがスターになっていくのって、痛快やし、それがヒップホップやと思ってるから、彼らがやってることが正しいんですよ。ああいうヤツらが武道館でやったり、ああいうヤツらがスターになることって、俺にもできひんかったことやし。若手もいろいろいるんやけど、俺と通じるものがあるし、期待とか楽しみもありますね。もちろん同じラッパーやから、ジェラスなんか全然あるんすよ。負けてらんねえとか。そこは年なんて関係ないから。ヤンキーって言ったらあいつらからしたら嫌かもしれないんですけど、ああいうヤンキーがいろいろ大きなことをするのが、同じBボーイとしてはスゴく誇らしい。俺が教えられることとか、俺ができることやったら何でもやりたいと思うようなヤツらですね。

FLJ AKLOの「Dirty Work Remix feat. ANARCHY」はAKLOの曲のリミックスですね。
ANARCHY この曲はけっこう早いうちにやった曲なんです。AKLOもやりたいと思ってたアーティストなんで、リミックスをやる時に、俺のアルバムにも入れるんやったら作るって彼に言ってたんです。初めから自分のアルバムに入れるつもりでリミックスをやりました。

FLJ AKLOも全くスタイルが違うし、これまでに共演がなかったですよね。
ANARCHY AKLOとは年も同い年なんです。でも今までタイミングがなく、一緒に曲ができなかった。AKLOが誘ってくれたのも俺はうれしかったし、どうせやるのなら自分のアルバムにも入れたいし、俺のファンにも聴かせたいし、AKLOのファンにも聴いてほしいっていう気持ちで作りました。


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FLJ 「The Professional feat. IO 」では、IOとの絡みが面白いですね。
ANARCHY 一回、IOのアルバムでフィーチャリングをやったんです。それでもう一回やりたいなって思ったのかな。この曲は俺がリリックを書く前からIOにオファーして、一緒に作った感じです。けっこうノリでしたね。お互いにリリックを送り合ったり、スタジオに入って作ったりしました。彼は自分が持ってないものを持ってる、カッコいいラッパーやなと思います。

FLJ 「Shine In The Life feat. Leon Fanourakis」ですが、Leon Fanourakisはそれこそ1%所属の若手ですよね。
ANARCHY WILYWNKAもLeonも、自分のところでやってるだけあって、俺がファンなんです。Leonはまだ19歳だったけど、教わる部分も多くて。若い子に音楽をいろいろ教わりながらやりましたね。これも楽に作れたんですけど、俺のひらめかへんような面白いこととかもやってくれましたね。

FLJ Leonはテクニカルで癖のあるラップをしますよね。
ANARCHY これもちょっと彼に寄せて作ったというか。彼のラップをイメージしながら、自分のラップを乗っけたって感じですね。

FLJ 「Loca feat. Awich」ですが、この曲はMVも面白いですね。ANARCHYさんは今までにも女の子ネタの曲をやってきましたが、今回は女性の意見を入れたのが革新的だと思いました(笑)。
ANARCHY この曲のトラックを聴いた時、俺が今までに当たったことないトラックだったので、正直パニクりましたね(笑)。Chaki(注:プロデューサーのChaki Zulu)に電話しましたもん。「何したらいいの?」って。これ、夫婦喧嘩みたいな曲です(笑)。

FLJ Awichとは「夫婦喧嘩」をテーマに作っていった感じですか?
ANARCHY 初めのラテンの感じは、もう乗っけた時点で来たんですよね。「俺何歌おう?」ってなって、Chakiさんからアドバイスをもらいました。簡単に言ったら、俺は俺でいて、その中で怒ってる嫁がいて、「で、あんたどこにいるのよ?」っていうサビなんです。そういう夫婦喧嘩の感じからああいうリリックが出てきました。

FLJ あのリリックは本当、刺さりましたね(笑)。
ANARCHY 「愛してるのは君だけ 仲間とストリップにお出かけ」ですね(笑)。
FLJ 「一番ファットな娘に声かける」も(笑)。
ANARCHY でしょ?(笑) 

FLJ 「ビッチがホウキで集める金」っていうのもさすがですね(笑)。
ANARCHY 「独学でドル札のピラミッド」もパンチラインでしょ(笑) 。

FLJ 男女の掛け合いの名曲を作りましたね。
ANARCHY 自分でも気に入ってますね。PVを撮ってくれたTakutoくん(注:映像ディレクターのTakuto Shimpo)とは何回か組んで撮ってるんですけど、この曲はPVを撮ってもらって良くなった曲でもあると思うんです。あの映像でちょっと面白く曲の輪郭をつけてくれたので。曲だけ聴いてもイメージできなかった部分は絶対にあると思うし。

FLJ 「Rollin’ feat. MACCHO」も良い曲ですね。ゲストがMACCHOでプロデュースがDJ PMXという組み合わせって鉄板ですね。
ANARCHY PMX、MACCHOって言ったら、もう俺らが憧れた人たちで、この曲はそのタッグの中に俺も入りたいっていう自分の願望の表れです。MACCHOくんはフィーチャリングとかやらへん時期やったっぽくて。なかなか連絡も取れへんかったけど、「遊びに行きます」とか言って、ちょっとだましましたね。会いに行ったら、次の日の朝にリリックを送ってきてくれて。

FLJ 「Yes or No feat. SEEDA」ですが、SEEDAとは意外にも初共演になるんですか?
ANARCHY SEEDAくんとは同世代で、競い合う時もあったし、雑誌とかでも比べられるような人やったんですよ。でもまだ若かったんで、俺の方がヤベエよみたいな感じだったんですけど。でも今SEEDAくんを聴いたら全然ヤバいし、自分の持ってないものを持ってたりするんです。今になってお互いがちゃんとご飯を食べたり、腹を割って話せる仲になって、やっと曲を作れるし、作りたいなとも思ったし、作れるような距離感にもなりましたね。今でも残ってる同世代だし、ああやって今でもヒップホップを追っかけてる大好きな人なんで、一緒に曲を作りたいなと思ったんです。

FLJ ガッチリ絡んでいる感じが出ていますよね。冒頭から「それありなーーーん?」っていう出だしで、スゴく面白い曲になっていますね。
ANARCHY 俺とSEEDAは、ヒップホップの中で「ありやで、ありやで、ありやねんけど、ホンマはナシやで」っていう気持ちを持ってたい人たちなんで。「ありやねんけどな、でもナシやで」っていうことを伝えれたらなと思いながら、俺は書きましたね。

FLJ 「Brand feat. Jin Dogg」では、ダーティ関西を代表する若手のJin Doggがゲストですね。前に関西のヤツらを入れたかったっていう話もしていましたが、今回この曲でJin Doggを入れたのは?
ANARCHY Jin Doggは正直、けっこうギリギリまで知らなかったんですよ。でもいろんな人から、「Jin Doggさん、どう思いますか?」って聞かれて。そこから気になっていろいろ映像を観たら、スゲエ面白いし、カッコいいなと思って。それで、自分が取っておいた曲に、「ここにJin Doggが入ったらヤバいんじゃないかな」と思って、それで呼びました。Jin Doggは「何で僕を選んだんですか?」って言ってましたもん。「いろんな人から見ろ、見ろ、聴け、聴けって言われて、ここまでたどり着いて。それだけおまえがホットっていうことやねんで」って言いましたね。「いろいろ観たらヤラレたし、一緒に作りたくなった」って。で、この後、関西人が続くんですけど(笑)。

FLJ 「Spend It feat. Young Coco」では、神戸の若手、Young Cocoがゲストですね。
ANARCHY この子は興味もスゴいあったんですけど、どこまで何ができるかっていうのがわからんまま、俺がスタジオに臨んだ一人で。スタジオに入ってヤラレました。スゴいんですよ。この子こそ俺ができひんことをいっぱい持ってたんで。一緒に録音してみて、若いヤツはスゴいなって思いましたね。俺は言葉を乗っけるだけなんですけど、自分でいろいろいじるし、スゴい音楽家でもある。ラッパーでもあるけど、スゴい才能の持ち主ですよ。

FLJ 「Lucky 13 feat. WILYWNKA」では、1%の第1弾アーティストとなった大阪の若手、WILYWNKAが参加していますね。最後の曲ですし、ラッパーになりたい夢を歌った、生い立ち系の歌ですね。
ANARCHY この曲のサビで「当たり前じゃない」って言ってるんですけど、それはWILYWNKAも俺も思ってることで。俺がやれてることも、彼が1%にいることも、みんなに写真を撮られることも、雑誌にこうやってインタビューされることも、今起きてることのすべてが当たり前じゃないんです。そういうところともリンクしたんです。彼はカッコいいラッパーやし、俺はすべてがタイプなんです。だから今1%にいるんですけど。俺はどれだけラップが上手くても、そんなに惚れることはないんです。でも彼には全然惚れてますね。

FLJ この曲の「Lucky 13」というタイトルもそうですけど、「13」ってけっこう今回キーとなるナンバーですよね。収録曲も13曲だし、毎月13日にMVを出したり、アルバムを出したりしていますよね。今回、13というナンバーに対するこだわった理由は?
ANARCHY 13は不吉な番号と言われていて。でもヒップホップは逆境をバネにして作る音楽だと思ってるし、それが俺のルーツでもあるし、そこは今でも変わらないんです。だからそれをひっくり返すという意味はありますね。不幸なところとか、恵まれない部分もあったけど、でもそれがなかったら俺はラップに賭けてなかったんで。WILYWNKAも同じで、良くない状況をひっくり返して今ここにいる。だからこそ「Lucky 13」なんですよ。マイナスとか良くないことがあったけど、それが全部武器になったし。それがラッパーなんですよ。あと、トランプだと13がキングですしね。

FLJ 今回のアルバムはゲストの力を借りたと言っていましたが、このアルバムが出来上がってみて、全体を見た時にどう思いましたか?
ANARCHY 何か面白いですね。自分でドライブしながらアルバムを聴きたいと思うようなアルバムが初めて出来た感じ。自分のメッセージを全部ずっとドライブしながら聴くのって変じゃないですか。でもこれだったら良い意味でBGMにできるんですよ。クラブで流れてもうれしいですね。あと、音楽の価値の話をしたと思うんですけど。俺はラッパーの価値を上げたいなと思ってて。ラッパーは自分の人生を切り売りして、マイナスのこともさらけ出して、裸になって歌うんです。もちろんそういう歌手の人もいるとは思うけど、ラップはそれの究極やと思うんですよ。それはロックでもないと思うし、ヒップホップにしかないもの。スゴく人生を賭けてると思うんですよね。だから、そういう風に思ってもらえたらいいなと思って。

FLJ ヒップホップを好きな人って、ヒップホップ全般が好きな人と、他にもいろいろ音楽を好きな中でつまみ食い的にヒップホップを好きな人がいると思うんです。このアルバムは、つまみ食い的にヒップホップを好きな人が聴いた時に、それこそヒップホップ全般にも興味を持ってもらえそうですけどね。
ANARCHY そこに気づいてもらえたら成功なんですけどね。ラッパーがどれだけ自分らの人生を賭けて歌ってるのかっていうのが、ちょっとでも届けばいいなと思います。値段はいくらでも良かったんですよ。自分で決めるっていうことに意味があったから。

FLJ 今年公開される映画『WALKING MAN』についても聞きたいのですが。映画を撮りたいっていうのは25歳の時から描いていた夢とのことですが、どういう映画を作りたかったんですか?
ANARCHY 25歳の時は何も考えてないです。映画を作りたいっていう漠然とした夢だけやったんですよ。それで実際に35歳近くになって、それが目の前に来て作ろうってなった時、ゼロからやし、誰もいいひんし、ホンマスタッフにも言わんと一人でいろんなところに行って。そこから脚本を作ったんです。でも初めに自分の武器って何やろうって思った時に、ラップしかなくて、映画を作るにしても、やっぱラップ映画しか考えられなかったんです。それで、ラップ映画にしても、俺の生い立ちの映画を作るわけでもなく、普通の何も知らん男の子でも、何もない子でもラップはできる、誰でもラップを始められるぞっていうものにしたかったんです。

FLJ 主演に野村周平を起用したのは?
ANARCHY もちろんいろんな俳優を考えましたよ。周平とは元々交流があったっていうのもあるけど、それが理由じゃないんですよね。ただ、彼には何か感じるものがあったし、彼なら表現できるっていう確信もありました。ストリートのこともラップのことも、何も知らないゼロからラップを教える自信は俺にはなくて。周平には教えるも何も、元々自分の中にあるものだから、あとはどういう風に表現するのかっていうところだけで。ラップの部分に関しては、俺が教えられることは教えました。でも実力のある俳優なんで、ちゃんとこなしてくれましたね。彼にして良かったなって思ってます。

FLJ 2019年は、アルバムを出して、映画が公開になって、あと1%の方では、Leon Fanourakisの新作がリリースになるんですよね?
ANARCHY そうです。モノは作っていきます。みなさんを驚かせられるエンターテインメントもそうやし、モノ作りもアートもそうやし。期待してほしいし、これからも何か人生の一つのパーツになるようなものを作るつもりなので。Leon Fanourakisのアルバムもそうやし、WILYWNKAもそうやし、ラッパーとしてのANARCHYもそう。新しい映画も作りたいし。いろんなものを作って、仕掛けていきます。

FLJ それはやっぱり最初、若い時にラッパーになりたいと思った気持ちの延長にあるんですよね。
ANARCHY 延長ですね。今でもこうやってやれてることに感謝してます。スタッフがいるからそうやし、いろいろ仲間がいるからそうなんですけど。こうやって俺はモノを作っていきたいです。意外と思ったり、言ったりすればできるものなんですよ。だからこれからも夢と想像をふくらませて、もっと夢を見たいし、夢がある間はモノを作っていきたいんです。

『The KING』
(cutting edge)
13,000円数量限定CDアルバム
3月13日リリース

アートワークには上岡拓也による油絵を起用し、額縁に見立てたゴールドのスリーブケースに納められている。パッケージの中にはシリアルナンバー付きのゴールドカード、全曲の歌詞ブックレット、そして収録された楽曲をスマートフォンですぐ楽しむことができるスマプラミュージックも封入されている。

01. The King (Prod. COOKIN’ SOUL)
02. Run It Up feat. MIYACHI (Prod. 理貴)
03. Kill Me feat. 般若 (Prod. BACHLOGIC)
04. Where We From feat. T-Pablow (Prod. D BO¥$)
05. Dirty Work Remix feat. ANARCHY / AKLO (Prod. BACHLOGIC)
06. The Professional feat. IO (Prod. KM)
07. Shine In The Life feat. Leon Fanourakis  (Prod. COOKIN’ SOUL)
08. Loca feat. Awich (Prod. Chaki Zulu)
09. Rollin’ feat. MACCHO (Prod. DJ PMX)
10. Yes or No feat. SEEDA (Prod. YamieZimmer)
11. Brand feat. Jin Dogg  (Prod. COOKIN’ SOUL)
12. Spend It feat. Young Coco (Prod. AVA1ANCHE)
13. Lucky 13 feat. WILYWNKA (Prod. AVA1ANCHE)

ANARCHY “THE KING” TOUR 全国各地で開催中

6/12(水)ANARCHY “THE KING” TOUR SPECIAL in 六本木EX THEATER 開催決定!
詳しくはWebで!

映画『WALKING MAN』

ANARCHY初監督作。野村周平が主役を務め、極貧生活のどん底からラップ一つで這い上がる気弱なラッパー役を演じる。
主人公は、極貧の母子家庭で育ち、幼い頃から吃音症でコミュ障、さらに事故で重症の母親を抱え、思春期の妹を放っておけないという気弱で心優しき青年・アトム。不用品回収業のアルバイトで生計を立てるアトムがラップ音楽と出会い、最底辺の生活から抜け出すべく馬鹿にされながらも、奮闘し成長を遂げていく。
ANARCHYが監督を務め、マンガ家・高橋ツトムが企画プロデュース、梶原阿貴が脚本を担当する。
2019年公開予定。
https://walkingman-movie.com

ANARCHY
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