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AKiLA from Fly☆81

April 05,2017

帰ってきた湘南メロディック・サーフ・コア

PHOTO: Jesse Kojima

From ISSUE 53 (03.30.2017)

AKiLA is back!! NO END WHYからFly⭐︎81、そしてソロのアコースティックと、湘南のサーフィンと音楽のクロスオーバーするシーンで音楽活動をしてきたAKiLAが、難波章浩のサポート・ギタリスト、そして数年間の沈黙の後、HateItOrLoveItのギタリストを経て、本格的に自分の音楽活動に戻ってきた。しかもFly⭐︎81以来となる、ヴォーカル&ギターでのレゲエもちょっと入ったメロコアなのだ。『THE PLACE TO BE』というタイトルの6曲入りミニアルバムを聴くと、AKiLAが最も得意とするサウンドを本当に伸び伸びとやってるのがわかる。打ち込みも含めて全パート自分で演奏して、レコーディングもエディットもやりながらも、あくまでも生感を出したバンド・サウンドになっているのもいい。「湘南メロディック・サーフ・コア」と自ら言うだけあって、そこにはAKiLAのちょっとした自信も感じられるのだ。

FLJ AKiLAは引っ込んだ時って音楽はやめようと思ったの?
AKiLA プライベートでいろいろあって。声とか出なくなっちゃって。コンビニにも行けないくらいになって。で、引っ越したんですよ。歌を歌いたいという感覚もなくて。人にも会わないし、仕事だけ。家でひたすら絵を描いてたんだけど、それが楽しくなって。意外とこれで乗り越えられるのかもと思って。2年ぐらい描いてたかな。音楽の方は、家でちょっと曲を作ってみたんだけど、全然出来なかった。カラオケは行ってたけど(笑)。引きこもりではあったけど、平穏な日々を過ごしてました。

FLJ そういう日々からまた曲を書けるようになったのは?
AKiLA 2015年からHateItOrLoveItというバンドでギターをやって。ずっとバンドがなくて、歌いたくはなかったけど、音は出したかった。でもやってくうちにだんだんヴォーカルをやりたい気持ちが沸々と戻ってきて。もやもやしながら、それが何故なのか考えながら、「たぶん歌いたいだけなのかもしれない」ってところに気づいたんです。それで素直になろうと思って、バンドを抜ける話をして。だから、バンドをやめてから今回のリリースまでは早めに動きたかった。2~3ヶ月で曲を全部録って。CDの制作からリリース、発送まで全部自分でやりました。

FLJ 自分で歌うのも、自分で歌ったものを出すのもスゴく久しぶりだったでしょ。そこはどうだったの?
AKiLA 気づいたらスゴい久しぶりだったという感じで。Fly☆81で最後に出してから9年経ってるんですよね。その後ソロでアコースティックはやってたから、そういう意味では4年振りくらいかな。今回はあまり無理してなくて。時代に合ったことをやろうとも思わなかったし、新しいことを取り入れようという感覚もなかった。サーフィンをやってても、最近の若い子のサーフィンはスゴいから。だけど自分が海に入ってそれをやろうとは思わない感覚。それと一緒で。いつも通りサーフィンをする感覚で、自分の音楽もいつも通りやろうと思って。そしたら今回みたいなサウンドになって。俺の中にある音楽をただ絞っただけですね。だから何も新しくないし、意外と’90年代のメロコアの感じになったんです。

FLJ AKiLAが戻ってきたとしか言いようのない良い曲ばかりだね。
AKiLA スッキリしましたね。自分の中にあるものだけでいいやって思えた。果汁100%みたいな(笑)。あまりカッコもつけてないし、けっこうスッピン。今の俺が出たかな。バンドでやってた時は他のメンバーとやるわけだから、100%自分が出ることはないんですけど。だから今回は今まで出したことのない、100%自分の音楽っていうのを出した。「俺はこういう曲を作る人です」っていう再プレゼンができたんじゃないかな。

FLJ 今回、名義が「AKiLA From Fly☆81」なんだけど、Fly☆81っていうのはAKiLAにとってどういう存在?
AKiLA メンバーのSHUNと883なしにはFly☆81じゃないんだけど。でもこうやって作ってみると、俺が作ればFly☆81だなと思って。それは今回確認できたことかな。そういう意味ではこれはFly☆81のアルバムだと思ってて。ただバンドでプレイしていないっていうだけ。Fly☆81とは言い切れないけど、AKiLA From Fly☆81ということで、前と同じことをやってる。それを自分のやってきたROCK OF AGES RECORDSから出すことで、ただ単に点が線になっただけなんです。

FLJ 歌詞の書き方は変わった?
AKiLA 昔はもっと良いことを言おうみたいなのが強かったし、ちょっとした使命感もあってやってた。こんな俺が愛とか平和とか歌ってていいのかなと思って、それで歌えなくなっちゃったんだけど。今回やりたかったことは、引きこもってた自分みたいに、コンビニに行けないとか、歌を歌えないとか、状況は違えど、そういうヤツらをちょっと引き上げたいっていうイメージだった。幸せな人たちに聴いてもらって、さらに幸せになってもらおうっていう感覚はなくて。水中でもがいてる人を水面まで上げられればいいなぐらいに思って。あとは、日本語ってどうしても耳にロックオンしてしまうから。意外と耳にロックオンしないように言葉を選んだり、響きを大切にしたりしましたね。ずっとループして聴ける日本語のメロコアを目指してるんで。日本語だけど意外と残らないで、メロディだけ残って、言葉は聴いた人が欲しいものだけピックアップできるようにしたかった。メロコアというところにはこだわりましたね。というのも、最近のサーフ・ミュージックって、アコースティックは好きで俺もやるんだけど、メロコアの人たちもいなくなっちゃったし、そこにいることも大事なのかなと思って。今のサーフィンってヤバイから、映像にパンクが乗っかってたらもっとヤバイんじゃないかと思うし。そうすると俺がバンドを始めたみたいに、サーファーのバンドも増えると思うんです。

FLJ 歌詞の話に戻るんだけど、1曲目の「Fly again」のコーラスの「This time last forever」がスゴく耳に残るのね。ここには今度こそずっとやり続けるんだっていう決意みたいなものが込められてるのかな?
AKiLA もう42歳だし、新しいことももうやらないし、バンドをやってツアーを回ろうでもないし、ここにステイすることが大事なのかなと思って。あの曲を書いてる時に、THE SURFSKATERSのステージがスゴく浮かんで。「この曲をあそこで歌ったら」って思った時に、「This time last forever」って思うだろうなと思ったんですよ。「この時間が永遠に続いたらいいな」って。そしたら感極まって。目の前に楽しんでる人たちがいる状況になったら泣けてくるよなと思って。

FLJ Fly☆81としてやることはないの?
AKiLA スゴくやりたい。でもやりたいからってメンバーに連絡して、それありきで音楽をやることが嫌だったんです。「俺がやりたい」っていうのがまず大事で。メンバーがやらないってなったらできなくなってしまう、そういう怖さもあったから。それに二人にとって昔のままで俺は止まっちゃってるから、新しい自分を見せられないと思って。だから、Fly☆81をやりたいよっていうアティテュードで、AKiLA From Fly☆81っていう意思表示はして。この音楽に反応してくれたら是非お願いしたいっていう感じなのね。「再プレゼン」ってさっき言ったのはそういう意味で。今の俺とやりたい人と音楽をやりたいから。だから俺は一人でもできるっていう意思表示もしたかったんです。まあマイペースにやっていきたいですよ。

FLJ ライヴはどうするの?
AKiLA 誘われ始めてますね。アコースティックで誘われるんだけど、このCDをライヴで表現したくて。あと、ムラサキスポーツから「MURASAKI SHONAN OPEN」の大会の話があって。俺が勝手に一人で決まるって前提で進んでるんだけど、鵠沼でFly☆81がみんなの前に立てたらいいなと思ってて。NO GAIN、Fly☆81、山嵐でやりたいって提案しているところです(笑)。





AKiLA from Fly⭐︎81
『THE PLACE TO BE』
(ROCK OF AGES RECORDS)
3月10日発売
ROAC-004
¥1,500(税込)

akilakinugawa.com

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